「先延ばし」を克服する5つの戦略

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仕事でも、私生活でも、すぐやるべきだとわかっていても、つい先延ばしにしてしまうことは多い。それでは何も解決しないばかりか、自己嫌悪に陥ったり、うんざりした気持ちになったりと、マイナスばかりである。本記事では、生産性の専門家であり、この問題を丹念に調査した筆者が、先延ばしの衝動を抑える5つの戦略を示す。


 おそらく、いまこの瞬間、あなたは何かを先延ばしにしているだろう。本稿を読んでいるのも、そのためではないだろうか。

 しばらく前に、私は1年かけて、個人の生産性に関するアドバイスを手当たり次第、試してみた。自分の時間の使い方をとりわけ意識するようになって、ある発見をした。私は自分で考えていたよりはるかに頻繁に、物事を先延ばしにしていたのだ。時間を記録したところ、あるときは、1週間のうち6時間もタスクを先延ばしにしていた。しかもこの数字は、私が自分で付けた記録から明らかになった分だけである。

 このことがきっかけで、こんな疑問が浮かんだ。「なぜ人は、自分にとって何の得にもならないと知りながら、先延ばしにするのか。どうすればこの習癖を克服できるか。できれば、自己嫌悪やうんざりした気分を味わわずに克服したい」

 これらの問いの答えを見つけるべく、私は研究者たちの話を聞き、時間をかけて多くの学術論文を読みあさった。こうして集めたアドバイスは、やがて1冊の本を書く基盤になった。また幸運にも、その多くには効き目があることもわかった。

なぜ先延ばしをするのか

 私が最初に学んだことの1つは、先延ばしが人間の条件であることだった。『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』の著者、ピアーズ・スティールによれば、95%の人が仕事を先延ばしすることを認めている。私に言わせれば、残り5%は嘘をついているのだろう。

 物事を先延ばしするという現象は、Solving the Procrastination Puzzle(未訳)の著者、ティム・ピチルの言葉を借りると、「やりたくないことに対する、純粋に内からこみ上げる感情的な衝動」である。タスクを嫌だと感じる気持ちが強いほど、先延ばしする傾向が強まる。

 ピチルの研究結果によれば、タスクを先延ばしにしたくなる誘因は7つある。あなたがいま、手を付けようとしていないことを思い浮かべてほしい。おそらくそのタスクには、以下のすべてではないにせよ、多くが当てはまるのではないか。いずれも、先延ばしされるにふさわしいタスクの特性として、ピチルが特定したものだ。 

 ●退屈
 ●イライラさせられる
 ●難しい
 ●あいまい
 ●体系化されていない
 ●本質的にやりがいがない(すなわち、プロセスが楽しいと感じられない)
 ●個人的な意義がない

 神経学的レベルでは、先延ばしはまったく論理的ではない。先延ばしは、感情を司る脳の部位である「大脳辺縁系」が、論理を司る「前頭前皮質」を力ずくで抑え込んだ結果生じるのだ。仕事よりもフェイスブックを選んだ瞬間、あるいは帰宅後にドラマシリーズ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』の別のエピソードを一気に見ようと決めた瞬間、論理を司る脳の部位が降伏する。

 とはいえ、論理的なほうの脳の部位を勝たせる方法もある。論理と感情の対決が近づいていると気づいたとき、先延ばししたいという衝動を抑えればよいのだ。その最善策を、私自身の調査結果に基づき、紹介する。

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