論文セレクション

「『出る杭』を伸ばす組織」関連論文

『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』では毎月、さまざまな特集を実施しています。ここでは、最新号への理解をさらに深めていただけるよう、特集テーマに関連する過去の論文をご紹介します。

 2017年11月号の特集は、「『出る杭』を伸ばす組織」と題して、人材育成に焦点を当てる。

 組織は多様な人材を抱えている。しかしながら、個々の特性を活かし切れている組織は少ない。「出る杭は打たれる」という言葉があるように、優秀な人材、目立つ人材をうまくマネジメントできず、組織の枠に押し込めてしまう状況に思い当たる人は多いだろう。

 本特集では、人材の均質化を図るのではなく、多様性を活かし、促すことで、組織の競争力を高める手法について考える。

 ハーバード・ビジネス・スクール 教授のフランチェスカ・ジーノによる「『建設的な不調和』で企業も社員も活性化する」では、社員の働く意欲を高め、創造性豊かな組織へと変わる方法が示される。組織は活動が順調だと、組織内に「調和」圧力が生まれる。その結果、メンバーのほとんどが、職場では本当の自分になれないと感じ、仕事に退屈する。周囲は、自分と同じように考える人々ばかりになる。そして生産性は低下し、イノベーションも起きにくくなる。こうした問題を回避するには、「建設的な不調和」が必要である。リーダーが組織に調和をもたらすように働きかける時間の半分でいいから、建設的逸脱を組織内に育てるために使うべきだという。

 同志社大学大学院・同志社大学教授の太田肇氏による「ポスト工業化社会の企業論:個人を組織から『分化』せよ」では、日本企業のあるべき組織体系に言及した。近年、イノベーションが生まれにくくなっているのは、みずから発案して実行する「出る杭」人材が少なくなっているからだ。それは日本企業の共同体型組織という特性に起因する。工業化社会ではこの特性は優位に働いたが、創造性が必要な今日では成長の足かせになっている。根本的な解決策は、組織から個人を分化させ、モチベーションを存分に発揮できるようにすることだ。そのための具体策として、キャリア形成の複線化、外部人材の積極採用、副業の奨励、独立支援などを挙げる。

 INSEAD 助教授のジェニファー・ペトリグリエリらによる「逸材を襲う組織人の呪縛」では、優れた能力を有するがゆえの呪縛の正体と、そこから解放されるための3つのステップが提示される。有能な人材ほど早期に出世コースに乗り、組織内で責任ある立場を任されるが、リーダーとしての成長が順調に進まないケースがよく見られる。彼らは、組織に変革をもたらす稀有な存在でありたいという理想を追求すると同時に、組織と同一化して完璧なマネジャーを目指すべきという2つの相反する想いに押し潰され、みずから型にはまってしまうのだ。その結果、抜擢時に期待された「将来のリーダー」ではなく、「並外れて優秀なフォロワー」が誕生する。そこからどう抜け出すべきか。

 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構・機構長の村山斉氏へのインタビュー「宇宙の謎は異才の集団で解き明かす」では、世界中から集まる優秀な人材が個々に研究に打ち込むだけではなく、いかに分野を超えて共同研究を行い、斬新な論文を生み出しているのかを聞いた。2007年に数物連携宇宙研究機構(IPMU)として発足した「カブリ数物連携宇宙研究機構」(Kavli IPMU)。天文学、物理学、数学という異なる分野の研究者が所属し、分野を超えて「宇宙への根源的な疑問」の解明を試みる国際的な研究機関である。設立から10年とまだ歴史は浅いが、約90人の研究者のうち、半分は海外からの優秀な研究者で構成されている。毎年十数人の枠に、約700人の研究者が応募してきており、世界各国から優秀な人材を集める世界水準の研究機関へと育っている。

 ストライプインターナショナル社長兼CEOの石川康晴氏による「『出る杭』を引き上げ、育てる経営への転換」では、リスクを抑えながら、人材育成と事業拡大の両立を図るための施策が明かされる。ストライプインターナショナルは、「アース ミュージック&エコロジー」をはじめとした、ファッションを中心にグループで30のブランドをSPA(製造小売り)などで展開する。創業からの急成長を牽引してきた社長の石川康晴氏は近年、経営スタイルを転換している。ゼロから1への事業創造期には自身がすべてをリードしたが、1から100への経営拡大期に入って、社内外に逸材を見つけ、引き上げ、事業を任せ、育成することに注力している。

 ウェスタン大学 リチャード・アイビー・スクール・オブ・ビジネス教授のロバート D. オースティンと、ハーバード・ビジネス・スクール教授のゲイリー P. ピサノによる「ニューロダイバーシティ:『脳の多様性』が競争力を生む」では、黎明期にあるニューロダイバーシティが企業にもたらす利益や課題、人事プロセスの変革過程など、先進企業の事例を交えながら論じていく。「自閉症やADHDのような非定型発達は、人間のゲノムの自然で正常な変異である」というニューロダイバーシティの発想が広まり、必要な配慮や支援を提供することで、ニューロダイバースな人材(非定型発達者)を取り込む動きが、有名企業に広がりつつある。実際、これらの特質を持つ人材は特定の能力が非常に優れており、生産性、品質、革新性の向上など、企業に多種多様な恩恵を生み始めている。

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