Going Digital 社会、市場のデジタル化を日本企業変革のチャンスにする

「無関心化」時代に
日本企業はどう変わるべきか

――最新の「アクセンチュア消費者調査」から見える課題

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アクセンチュアが実施した、最新のグローバル消費者調査から、日本の消費者の無関心化が昨年よりさらに加速していることが明らかになった。無関心化は、多くの日本企業にとって、顧客との距離をますます遠ざけることになりかねない苦慮すべき問題だ。なぜ日本の消費者の無関心化は進行しているのか、そして今後、日本企業はいかに消費者との関係性を構築していけばいいのか。

先進国で進む「消費者の無関心化」

――まず、「アクセンチュア消費者調査」の概要について教えてください。

百瀬亮輔
アクセンチュア
戦略コンサルティング本部
シニア・マネジャ

東京大学法学部卒。2005年アクセンチュア入社。小売や消費財、エレクトロニクスなど幅広い業界を対象に、営業・マーケティング戦略策定、顧客接点のデジタル・トランスフォーメーション、先進デジタル技術を活用した新規事業立案・立ち上げなど企業の成長テーマを多数支援。

百瀬 世界各国の消費者を対象に2005年から毎年行っているアンケート調査で、最新版は2016年7~8月にかけて、世界33ヵ国およそ2万5000人(うち日本は約1300人)を対象に実施しました。対象サービスは、ユーティリティ(ガス/電気)、携帯・固定通信、ケーブル/衛星放送、消費財小売、家電、ヘルスケア、ホテル、銀行/金融サービス、生命・損害保険の11業種で、企業のマーケティングや顧客サービスに対する消費者の動向や態度、期待を調査するものです。

――昨年の調査結果の最大の特徴は「無関心化する消費者」の増加でした。無関心化する消費者とはどんな人たちでしょうか。

百瀬 製品・サービスの比較検討作業を放棄し、自身の要求が定かでないまま購入行動に移る消費者です。その理由はさまざまあると思いますが、一番はインターネットの普及によって情報の海に溺れてしまい自分で吟味できず、ジャッジメントを放棄してしまっていること。また、製品・サービスの品質にあまり差がないため、どれを買っても同じという思いもあるでしょう。買い物履歴などのデータをもとに自分向けの商品が次々とレコメンドされる機能の普及も、無関心化の要因の1つと考えられます。

 日本をはじめとする先進国では、徐々に製品・サービスに対するこだわりや執着がなくなってきていて、購入前に情報収集や比較検討を行わない消費者が無視できないくらい多くなっていることが、昨年の調査で浮き彫りになりました。

 このため、今回は、(1)昨年の調査結果と比べ、消費者の無関心化トレンドに変化はあったか、(2)無関心化時代において、いかに消費者との関係性を構築するか――の2点から分析しています。

トレンドは変わらないが
日本だけ無関心化が加速

石川雅崇
アクセンチュア
戦略コンサルティング本部
顧客戦略グループ アジア・パシフィック統括 マネジング・ディレクター

京都出身。同志社大学卒業後、1995年にアクセンチュア入社。ノースウエスタン大学経営大学院(ケロッグ校)アドバンスド ビジネスマネジメント プログラム(エグゼクティブMBA)修了。現在は、成長戦略領域のアジア・パシフィック統括として、デジタルによる企業成長戦略や新規事業戦略の立案、企業変革を推進。グローバルにおけるアクセンチュアの知見/論考を取りまとめるデジタル編集委員の一人。早稲田大学客員教授。
「サーキュラー・エコノミー:デジタル時代の成長戦略」(日本経済新聞出版社)監訳。

――無関心化のトレンドについてはどんな変化がありましたか。

石川 「製品・サービスについて購入前によく検討しますか?」という問いに対し、「検討しない」と答えた割合を見ると、昨年と同様、新興国に比べて先進国は、製品・サービスに対する執着心は弱い傾向にあることがわかりました。トレンドに大きな変化はないということです(下図)

 ただ一方で、多くの先進国では無関心化の流れに歯止めがかかっているように見て取れます。ですが、日本だけは無関心化がさらに加速しています。また、日本では、家電や消費財小売など嗜好性の高い製品・サービスも含め、すべての業種において、消費者の無関心化トレンドが進み続けていることも明らかになりました。

 ロイヤリティの観点から見ても、昨年と同じ傾向が読み取れます。「取引をしている企業・商品に対してロイヤリティを感じますか?」という問いに対し、「感じる」と答えた割合を見ると、昨年と同様、消費者の無関心化が進む先進国では、企業や商品・サービスへのロイヤリティが新興国に比べて低い水準となっています。ここでも多くの先進国にややより戻し傾向が見られますが、日本は先進国の中でも低い水準にあります。

 

 

出典:アクセンチュア
*「製品・サービスについて購入前によく検討する」に対し、全く同意しない/同意しない/やや同意しないと回答した割合の合計
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