モルガン・スタンレーの挑戦:
機械学習で顧客ニーズを理解する

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モルガン・スタンレーは先頃、機械学習を活用した投資アドバイスの新システムを導入し始めた。それは、いま流行りの「ロボアドバイザー」の範疇をはるかに超える、似て非なるものだという。本記事では、人工知能の力を上手に活かしながら、あくまで人間を重視する同社の取り組みを概説する。


 金融機関が、人工知能で自動化された投資アドバイスを提供するシステムは、「ロボアドバイザー」と呼ばれている。この呼称は、業界内で特に好まれているわけでもないが、普及はしている。

 しかし、最近モルガン・スタンレーが発表した、機械学習によって強化された人的助言プロセスは、「ロボット」という範疇をはるかに超えるものだ。これが、ロボアドバイザーなる呼称をようやく葬り去る一助となるかもしれない。

 モルガン・スタンレーは、1935年からニューヨークを拠点に営業しており、リテール投資業界では人間中心主義の企業の1つとして知られている。同社には1万6000人ものファイナンシャル・アドバイザー(FA)がおり、顧客投資家とは対面での打ち合わせや電話といった伝統的なチャネルを通して、長年にわたり強固な関係を維持してきた。

 だが、こうした労働集約型のチャネルでは、取引可能な顧客数が制限されることを同社は心得てもいる。このやり方を好むのは、主に年配の投資家である(デロイトの調査によると、米国の資産運用業界では顧客の3分の2超が60歳以上だ)。

 そこでモルガン・スタンレーの資産運用部門は、FAがより効果的・効率的に助言できるように、「ネクスト・ベスト・アクション」というシステムの開発に数年がかりで取り組んできた。

 このシステムの最初のバージョンは、ルールベースのアプローチを活用して、投資オプションを提示するものだった。これに取って替わり、機械学習によって投資の可能性と顧客の好みをマッチングするシステムが導入された。

 今日の投資オプションはあまりにも多岐にわたるので、FAが細大漏らさずにすべて把握し、顧客に提示するのは困難だ。また、マーケットを揺るがす出来事が起きた場合(たとえば英国のEU離脱決定と、それに伴う英国株の下落など)、FAが短時間で顧客全員に個別連絡するのも不可能である。

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