Going Digital 社会、市場のデジタル化を日本企業変革のチャンスにする

デジタルM&A
最初の壁:買収先ターゲットをどう見つけるか

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デジタル技術による創造的破壊を自らビジネスチャンスに変えるためには、外部から革新的な技術を取り込む独自のデジタルM&A戦略が不可欠だ。昨年2月、そのグローバルな最新動向をまとめたレポートをアクセンチュアが発表し、日本でも大きな反響を呼んだ。それから1年が経ち、最先端を行く欧米グローバル企業のデジタルM&A戦略はどのように進展しているのか、また出遅れが指摘される日本企業に今何が求められているかを聞いた。

欧米グローバル企業の
デジタルM&Aはさらに加速

横瀧 崇(よこたき・たかし)
アクセンチュア 戦略コンサルティング本部
M&A統括 マネジング・ディレクター

アクセンチュア 戦略コンサルティング本部において、業種横断でM&Aの戦略から価値創出までを一貫して支援するM&Aプラクティスの日本統括マネジング・ディレクター。通信、ハイテク、自動車、消費財、小売、化学、金融と幅広い業界において、10年以上M&Aにおける価値創出を支援している。

――「デジタル時代のM&A」については昨年、このコーナーでもお話をうかがいました。その後、1年の間にどのような変化がありましたか。

 グローバルで見ると、大企業は引き続き、成長を持続するための新たなデジタル能力の獲得に奮闘しています。

 アクセンチュア・ストラテジーの調査によると、回答企業の72%は「今後3年間で5社以上のデジタル企業の買収」を考えています。さらに、ほぼすべての企業(96%)が「デジタル企業への投資は自社のビジネス戦略の中核を成す」と回答。日本においては100%がそう答えています。

 つまり、多くの企業がデジタル能力を取り込むM&Aの重要性を強く認識しているということです。

 こうした中、欧米のグローバル企業はデジタルM&Aをさらに加速させています。

 例えば、自動車メーカーのダイムラーは、ライドシェアリング(相乗りサービス)の「Car2Go」に続き、2社のスタートアップを買収しました。

 1つは米国のフライトカー。同社のビジネスモデルは、旅行者が空港に駐車しておいたクルマを他の旅行者が使えるようにする独自のシェアリングサービスです。ダイムラーはこのサービスではなく、テクノロジープラットフォームを獲得するのが目的でした(事実、フライトカーのサービスは買収後終了しています)。

 もう1つは電子決済サービスを手がけるドイツのペイキャッシュ・ヨーロッパ。財布を持たずにスマホで決済できるサービス、仮想通貨のビットコインなどを手掛けてきた会社です。ダイムラーの「CASE戦略」に沿って、必要なケイパビリティ(能力)を着実に買収していることがわかります。[CASE戦略:C:Connectivity(コネクテッドカー)、A:Autonomous Driving(自動運転)、S:Sharing(カーシェアリング)、E:Electric Driving Systems(電気自動車]

 こうしたグローバル企業では、デジタル時代における戦略を策定し、それに必要なコンポーネント(必要な技術を持つスタートアップ)をグローバルレベルで探し出し、それらを組み合わせながら、さらに戦略を進化させていくという取り組みを行なっています。

 また、ウォルマート・ストアーズはアマゾンに対抗するため、デジタルM&Aでeコマースの強化を図っています。ネット通販のジェット・ドット・コムと、アウトドア用品を実店舗とオンラインストアで販売するムースジョーを立て続けに買収しました。リアルとネットを融合してアマゾンと戦うというシンプルな戦略ですが、やはりスピードを重視し、M&Aを有効に活用しています。

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