Going Digital 社会、市場のデジタル化を日本企業変革のチャンスにする

AIシンドロームへの正しい処方箋
競争優位につながるAI活用とは

6

まとめ~AIシンドロームへの正しい処方箋

 デジタル技術の進展により企業の競争環境が大きく変化している。市場の創造的破壊を狙う新興企業を含めた競合に対抗するうえで、先んじてAIに取り組み活用していくことは極めて大きな可能性を秘めている。過熱感もあるAIシンドローム(症候群)のなかで道を違えず、自社の持続的な競争優位の構築に向けた取り組みとすべく、正しい処方箋をまとめることとしたい。

 まず、自社の事業特性・強みを踏まえ、持続的な競争優位のために、オペレーショナル・エクセレンス、カスタマー・インティマシー、プロダクト・リーダーのいずれを志向してAIを活用するのか、取り組み意義ともいえる目指す姿(ゴール・シナリオ)を定義する必要がある。そのうえで、単純な置き換えによる人件費の低減だけではなく、売上げ向上や情報発信などの付加価値を含む当面の成果(クイック・ウィン)を示すことで、検討を継続的なものにすることが重要だ。

 さらには技術進歩への備えを意識し、投下したリソースが無駄にならぬよう、自社固有の業務・データを核とした累積経験・累積思考が価値を生む領域と、最新・最良の技術を取り込んでいく領域との切り分けをはっきりさせることが重要だ。そして、こうした取り組みを投資規模・速度の面で新興企業に劣らぬよう、リソースを分散せず、スピード感を持って取り組んでいくのが望ましい。

 より簡潔にまとめると、AIシンドローム(症候群)への正しい処方箋は以下の通りだ。失敗を恐れてチャレンジしないのは本末転倒であるが、計画の頓挫により取り組み自体が止まらぬよう3つの検討ポイントを吟味し、追い風が吹いているいまだからこそAIに関する取り組みをより本質的なものに昇華・加速させることで、将来につなげてほしい。

●競争優位に直結し、自社ならではのデータ・累積経験が価値を生むAI活用領域を見極めること
●他社に先駆けてリソース(ヒト・モノ・カネ・時間)を集中投下し、俊敏性を持って磨き上げていくこと

(写真左)
廣瀬 隆治(ひろせ・りゅうじ) アクセンチュア 戦略コンサルティング本部 マネジング・ディレクター

東京大学工学部卒、同大学院新領域創成科学研究科修士課程了。2004年アクセンチュア入社。現在同社戦略コンサルティング本部マネジング・ディレクター。通信・メディア・ハイテク業界を中心に、幅広い業界においてAIやIoT活用をはじめとしたデジタル戦略立案を支援。

(写真中央)
土田 研一 (つちだ・けんいち) アクセンチュア 戦略コンサルティング本部 シニア・マネジャー

東京工業大学工学部卒、同大学院社会理工学研究科修士課程了。2003年アクセンチュア入社。現在同社戦略コンサルティング本部シニア・マネージャー。ハイテク業界・通信業界を中心に、デジタル技術を活用したビジネスモデルの転換、それを支える経営の仕組み作りを支援。

(写真右)
唐澤 鵬翔(からさわ・ほうしょう) アクセンチュア 戦略コンサルティング本部 シニア・マネジャー

東京大学工学部卒。2006年アクセンチュア入社。現在同社戦略コンサルティング本部シニア・マネジャー。ストラテジーxデジタル分野のエキスパートとして、幅広い業界を対象に事業戦略立案、新規事業開発を支援。
6
Special Topics PR
Business Model 関連記事
Going Digital オピニオン」の最新記事 » Backnumber
最新号のご案内
定期購読
論文オンラインサービス
  • facebook
  • Twitter
  • RSS