新規事業を量産し、成功させる方法
――書評『リクルートの すごい構“創”力 』

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ハーバード・ビジネス・レビュー編集部がおすすめの経営書を紹介する連載。第55回は杉田浩章氏によるリクルートのすごい構“創”力――アイデアを事業に仕上げる9メソッドを紹介する。

0→1、1→10を実現する仕組み

 いかにイノベーションを起こし、新たな事業を創造するか――多くの企業で求められている経営課題である。これに最も応えている企業の1つが、リクルートである。

 成功した新規事業を1990年代以降に絞って、主なメディア・商品名を挙げても、「じゃらん」「ケイコとマナブ」「Hot Pepper」「ゼクシィ」「リクナビ」「SUUMOマガジン」「R25」「スタディサプリ」(いくつかは改名、休刊、転換している)と多数ある。

 こうした実績は、「リクルートだから、できる」といわれるように、起業家精神旺盛な独特の企業風土に起因すると一般には考えられている。しかし、それだけではなく、実績を支えるものとして、仕組みがある、というのが本書の肝である。それが、サブタイトルに「アイデアを事業に仕上げる9メソッド」と表されている。

 著者は、世界有数のコンサルティング会社、ボストン・コンサルティング・グループの日本代表の杉田浩章氏。終章に、「本書では、リクルートの新規事業を生み出す秘密について解説してきた。経営コンサルタントとしての立場から、これまでの経営戦略メソッドと比較しながら、一般の企業が活かすための処方箋をご紹介してきた」とあり、その通りの内容になっている。

 つまり、企業が新規事業を創り出すための方法が書かれているのだ。たとえば、9つのメソッドの1つ目は、「不の発見」。新規事業は、社会や消費者にとっての、不便、不満、不安を見つけることから始まる。この点は、新事業・新商品の開発においては一般的なことであろう。リクルートの場合、そこに、さらに3つの条件が加わる。

 その「不」は、①誰もが目をつけていなかったものか、②既存の産業構造を変えるほどの大きなものか、③収益につながるものか、というものであり、その見極め方や具体例が続いていく。

 リクルートでは新規事業の創造を、世の中に存在しない事業を生み出す「0→1」(ゼロからイチの創造)だけでなく、圧倒的な収益を獲得するものにする「1→10前半」、拡大再生産につなげる「1→10後半」と、継続して膨大な収益を稼げるものにすることと捉えている。小成功ではなく、大成功してはじめて、新規事業が創造されたと考えられるのだ。本書では、「1→10」以降について詳述されていて、そこに6つのメソッドがあてられている。

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