論文セレクション

「生産性」関連論文

『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』では毎月、さまざまな特集を実施しています。ここでは、最新号への理解をさらに深めていただけるよう、特集テーマに関連する過去の論文をご紹介します。

 2017年7月号の特集では、「生産性」に焦点を当てる。日本企業はいま働き方の改革を迫られているが、単に長時間労働を是正するだけでは十分ではない。真に求められるのは、企業の競争力を高めるべく、人的資源の投入をなるべく抑え、短時間で生み出す成果を最大化すること、すなわち生産性の向上である。

 本特集では、すべての日本企業が無視できないこのテーマについて、多様な視点から議論を深める。

 日本電産代表取締役会長兼社長の永守重信氏とキャリア形成コンサルタントの伊賀泰代氏による対談「世界で勝ち抜くには生産性向上が必然である」では、日本電産による働き方改革の真意が明かされた。残業をゼロにするため、2020年までに1000億円を投資する──。永守会長によるこの発表は、大きな注目を浴びた。「モーレツ」を代名詞とする同社の永守会長はなぜ、このタイミングで大きな決断を下したのか。そこには、真のグローバル企業になるうえで生産性向上が欠かせないという危機感があった。

 ピーター F. ドラッカーによる「知識労働とサービス労働の生産性」では、26年前に著されたものだが、今日の世界的課題である、社会の格差と不安に対する処方箋となっている。先進国の最大の経済的課題は、知識労働とサービス労働の生産性の低さにある。これを解決しないと社会的対立が激化し、取り返しがつかなくなる。かつて19世紀においては、製造業における格差が階級闘争を誘発したが、生産性向上を実現することで労働者の生活を向上させ、不満を抑えた。今日、労働人口比率の比重が知識労働とサービス労働に移っているので、そこでの生産性向上が不可欠である。本稿後半では、そのための6つの方法を示す。

 日本交通代表取締役社長の知識賢治氏による「データ経営が社員の成長を生み出す」では、日本電産で行なった施策に基づき、生産性向上策の7つの要点を明かす。複数企業の再生を果たした“プロ経営者”が、最たる労働集約産業に、データ分析とロジカルマネジメントを導入。タクシーの営業は終電を逃した客を狙うのが収益性を高めるコツというのが業界の定説だったが、データ分析の結果は違った。都心では早朝が需要過多なのに固定化された業務シフトではカバーできなかった……ファクトベースで論理的に仕事の仕方を見直すと、売上高が上がり、社員の中に自信とやる気が湧き上がり、自主的に業務改善するようになり、成長する。

 法政大学専任講師の永山晋氏による「日本企業の生産性は本当に低いのか」は、生産性のパターンを6つに分類し、真に目指すべき生産性のあり方について明らかにするとともに、生産性向上の4つのアプローチについて論じる。日本経済の生産性が先進国の中で極めて低い水準にあるというデータが示され、その向上が企業の課題として取り上げられる機会が増えている。日々の業務改善を目指すということに留まらず、労働人口の減少に対応し、一人ひとりの生み出す価値を向上させるという観点からも、生産性向上の必要性は高まっている。

 ベイン・アンド・カンパニーパートナーのマイケル・マンキンスらによる「資本があり余る時代の競争優位」では、現代における成長戦略転換の必要性を説く。これまで金融資本は稀少なリソースであったが、金融危機以降、各中央銀行の介入によって金利は低水準に押し下げられ、資本コストは限りなく低くなっている。しかも筆者らの分析によれば、この傾向は今後も続くという。こうしたカネ余りの時代においては、資本を既存ビジネスに適切に配分してリターンを上げるというこれまでのやり方から、実験的なプロジェクトに積極的に投資し、新事業を起こす成長戦略へと転換する必要がある。またこうした状況の下では、最も稀少なリソースは人的資本であり、これを理解している企業が高い生産性と成長を実現するのだ。

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