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顧客の言うことを真に受けてはいけない

――マーケティングから始める、B2B製造業のIoT

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 しかしこれを顧客ニーズと捉えても「儲かる」ビジネスモデルとはなり難い。なぜなら、顧客となる生産工場が経営的に目指すのは、工程全体の歩留まり改善であり、単位時間当たりの良品生産量の向上による生産原価低減だ。前述の「顧客ニーズ」はあくまで顧客側が考えた課題解決手段の1パーツとして検査担当に割り振られたミッションに過ぎない。この顧客ニーズに対応した製品を提供しても結局生産原価が落ちなければ、「成果」に対する対価は発生しない。

 従来の営業担当が分かっているつもりとなってる顧客課題とは、本質的な課題では無く、解決手段の一部ニーズでしかない。本当の顧客課題を理解するには、経営レベルでの課題から捉えにいく必要がある。

IoTの可能性を、自社の能力に
矮小化してはいけない

 また、上記で顧客が正しく課題・ニーズを発信したとしても、本来課題に対応するために必要なサービス範囲がこれまでの製品・自社ケイパビリティ(組織的な能力)の枠を大きく超えてしまっている際、その中で自らが解決可能な範囲へと課題を矮小化していってしまうケースも見られる。

 例えば、店舗の人件費削減課題に応えるソリューションを設計する際は、実際に削減できる稼働が経営的に意味がある(実際に人を1人減らせる/空いた稼働で別の売上貢献業務ができる)ことが重要だが、単に店員の○○業務稼働を10%削減とだけ唄い、導入しても真水の経営効果には何も結びつかない、といったケースもよく見る。なぜ10%なのかというと、自社製品でできる限界がそこまでだから、といったプロダクトアウト志向に陥ってしまってはいないだろうか。必要なのは真水の経営成果であり、自社製品領域に拘らずに他の機器・システムに費やす稼働まで巻き取りに行って効果を追求することが必要となる。

 顧客への成果創出を担うビジネスを行うためには、成果創出への必要条件ではなく、十分条件を満たす必要がある。そのためには既存の事業範囲に囚われない視野で、他部門や他社との連携も含めたソリューション企画を行う必要がある。【図表2】

出典:アクセンチュア
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