マネジャーにとって
「根回し上手」は万国共通の必須要件!?

「ピープルアナリティクス・カンファレンス2017」 レポート

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先日、フィラデルフィアで開催されたペンシルベニア大学ウォートンスクールが主催する「ピープル・アナリティクス・カンファレンス」People Analytics Conference 2017※以下PACに参加してきた。後編となる今回はピープルアナリティクスを行うことでの具体的な成果の事例を紹介する。
※前編はこちら


 前回ではPACの主旨と今後の人事の大きな潮流について記載した。その上で、「情報を整理し、仮説を出し、それを裏付ける分析を定量・定性データから行い、必要な示唆を得て『次の最善手』を導いていくことが人事の最も重要な役割になっていく」というコメントで締めくくった。そこで今回は、具体的に上記のような取り組みをしている企業の一つとして登壇したマイクロソフトの人事分析チームが、非常に興味深い議論を行ったので、それを紹介する。 

マイクロソフトが見出したマネジャーの役割とは

佐野一機
タレンティオ 代表取締役社長兼CEO

戦略コンサルタントを経て2009年11月にファウンデーションズを設立、オーガニックヘアケアブランドを展開。2011年12月よりサティス製薬に参画、取締役として製造業の経営に従事。2015年4月、家入一真氏とキメラを設立。2016年9月よりキメラの子会社であるタレンティオの代表取締役に就任。2017年3月にタレンティオの全株式をフリークアウト・ホールディングスに譲渡しグループに参加。趣味は放浪とカメラ。 グロービス大学院大学(MBA)修了。

 マイクロソフトが今回発表した調査の大きなテーマは、どの会社にも共通の課題としてあるであろう「マネジャーの役割とは何か」というものである。

 このテーマを調査する上で、マイクロソフトはメールやチャットツールなど、さまざまなデータを分析対象としている。ちなみに、調査対象のアプリを同社はOffice365のようなクラウドサービスとして包括的に提供しており、もちろん同社内で積極的に活用している。そもそもデータが無ければ分析ができないわけだが、マイクロソフトには多くのデータが蓄積されているのである。

 ただし、これらのデータを調査する際、最も重要なのは社員の理解を得ることである。センシティブな部分もあるため、こういった調査はあくまでも社員のためであることを同社は強調している。

▼参考リンク:Microsoft社CHRO(Cchief human resources officer、最高人事責任者)のブログ

 では、実際にマネジャーは業務にとって重要なのか。

 マイクロソフトの調査では「マネジャーは社員のエンゲージメントに大きく影響する」としている。では、どういったマネジャーが社員のエンゲージメントを高めているのだろうか。重要な示唆として、大きく2点のポイントが掲示された。

 一点は、1on1の「時間」についてである。優秀なマネジャーはそうではないマネジャーと比較して1on1に多くの時間を使っている。時間を割くマネジャーのチームは、仕事を仕上げるスピードが19%早く、エンゲージメントも高い傾向があるという。

 もう一点は、「優秀なマネジャーほどインターナルネットワーク(社内の人脈)が広い」ということである。マイクロソフトの調査によると、社内で広い人脈を持つ上司を持つ部下は通常よりも7%エンゲージが強くなり、逆に部下がマネジャーよりも110%以上のインターナルネットワークを持つ場合、離脱率が50%高くなるという。

 これは、マネジャーの役割が「部下の仕事をフォローする」とすれば、部下の課題について豊富なネットワークで成果に繋げたり、社内でプロジェクトが進みやすくするようにネゴシエーションが出来たりすることが重要ということが示唆として得られる。

「根回し」というと日本独特の印象もあるが、優秀なマネジャーというのは万国共通のようで、ネットワークを強固につくっていることは非常に興味深い。

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