なぜ副賞付きの懸賞は
魅力が低下してしまうのか

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懸賞にさまざまな副賞を付けて当選確率を上げるように、マーケターが良かれと思って消費者の選択肢を広げることにより、製品・サービスの魅力が十分に伝わらない可能性もある。筆者らの調査によってそんな事実が示された。


 2つの懸賞のうち、どちらがより魅力的だろうか。

 1つの賞品は、全サービスが付いたビーチ豪華旅行のみ。もう1つは、同じビーチ豪華旅行に加えて、よりささやかな副賞までが用意されている。

 当然、懸賞の賞品が多いほど、何かしらが当たる確率も高くなる。だからこそマーケターは、最も重要な点だけに限定せず、リスクがもたらす全結果(あるいは大半)について言及しようとする。たとえばエンタープライズ社は、2016年、特等賞の豪華バケーション(4日間)に加え、より小さな賞品(ゴルフボール1ダースなど)をいくつも提供するプロモーションを行った。

 企業側は、その選択肢がいかに魅力的か(あるいは、魅力がないか)を伝えたくて、こうしたマーケティングを行っている。だが、このアプローチを取れば本当に、顧客が何かを買ったり、あるいは行動を起こしたりする後押しとなるのだろうか。

 筆者らが実施したいくつかの実験研究によれば、その答えはノーだった。1707人のオンライン参加者に冒頭のような質問をしたところ、小さな特典を加えることでポジティブな選択肢の魅力が減ることが判明した。また、小さなリスクをいくつも挙げると、大きなリスクに対する評価が甘くなってしまったのである。

 ある研究では、懸賞にどの程度応募する気持ちになるかを参加者に尋ねた。懸賞の賞品として、参加者の一部にはLGの50インチテレビのみを提示。他の参加者には、同じテレビに加えて懐中電灯付きキーホルダー、蛍光マーカー2本、コースター3枚、マウスパッドを提示した。すると、賞品の総額は副賞付きの懸賞のほうが大きいにもかかわらず、副賞付きのものより賞品がテレビだけの懸賞のほうに応募したい、という回答が多かった。

 もう1つの研究では、参加者に薬の評価をしてもらった。薬の副作用について、一部の参加者には発作が起こる可能性があるとだけ伝え、残りの参加者には、発作に加えて鬱血や疲労の原因にもなると伝えた。その結果、その薬なら飲んでもよいという回答が多かったのは、副作用の数が多く、客観的に見てよりリスクの高い薬のほうだった。

 さらに別の研究では、旅行保険について尋ねてみた。一部の参加者には重傷を補償すると伝え、残りの参加者には重傷に加えてインフルエンザと軽症の風邪も補償する、と伝えた。結果は、補償の範囲が広い保険よりも、重傷だけを補償する保険のほうを利用したいという回答が多かった。風邪とインフルエンザを加えたことでかえって、旅行保険に入りたいという気持ちを削いでしまったかのようである。

 これはいったい、どういうことなのだろうか。

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