知性と知性が競い、知性を問う

AI(人工知能)が知的分野全般で人間の脳を上回る時代は来るのか。AIではなく、人間の脳だからこそできることは何か。AIとAIが競い合って性能が向上するように、人間の知性と知性も競い合って、さらなる高みを目指す。

人間の意思決定にはノイズがあるが、
AIにもバイアスがある!?

 4月10日発売の最新号5月号の特集テーマは、「知性を問う──AI時代の『価値』とは何か」です。

 AIが将棋や囲碁で人間のプロ棋士を恒常的に破るようになった事実は、社会に衝撃を与えました。AIがAIを開発するようになり、知的分野全般でAIが人間を上回る時代が間もなく来ると予測する研究者もいます。

 そんな科学技術の進歩の中、AIではなく、人間の脳だからこそできることは何か。私たち人間は、どのような面での知性に磨きをかけるべきなのか。

 研究者や作家など、異なる分野の4人の知性に、人間の脳の価値や潜在力を問うたのが今回の特集です。4人の見方や答えはまったく異なりますが、それぞれに希望を見出せる論考になっています。

 特集ほどには直接的ではありませんが、巻頭論文「意思決定の『ノイズ』」でも、人間に対するAIの優位性を論じています。

 ノーベル経済学賞受賞学者のダニエル・カーネマンら4人による論考で、医師や裁判官といったプロ中のプロにおいても、その判断において、ノイズ(バイアスとは異なる形でのブレで、体調などを原因とする)が日常的に影響を及ぼしている、ということを実証研究したものです。

 その対策として、コンピュータの活用を説いています。人間のような体調不良によるノイズなど発生しようもないからです。コンピュータに、もっと多くの判断を任せるべきとしています。その結論を導く例証と論理展開は、とても納得のいくものです。

 しかし、その一方で、最近の研究(次号の6月号で掲載予定)によれば、優れたAIを活用したインターネットの検索エンジンにはバイアスがあり、それを活用したビジネスにおいて多くの差別が発生しているとのことです。

 原因は、AIが活用する元のビックデータ自体やアルゴリズムにバイアスがかかっているからです。こうしたAIによる差別を解消するには、人間のチェックが必要となります。

 米国『ハーバード・ビジネス・レビュー』でも、この分野ではしばしば、異なる知見と視点の論考が掲載され、知性と知性が競い合って、高みを目指しています。今月から、編集の責任者に就きました。知的な競い合いの醍醐味をタイムリーにお伝えしていきます。

 また、今月から、「DHBR論文セレクション」というコーナーを新設しました。知の探索と深化を、これまで以上に追求していくものです。ぜひともご覧ください。(編集長・大坪亮)

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