本物のリーダーは
「反論する義務」を心得ている

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 マッキンゼーのOBでキャリアアーク・グループ会長兼CEOのロビン・リチャーズは、社員に期待する振る舞いを次のように明言している。「上司の言うことすべてに同意するような会議は、やるべきではありません。反論する義務があってこそ、最高の知恵と成果を得られるのです。人はそういう環境を好みます。自分に価値があると感じられ、大胆になります」

 現実はどうだろうか。反論する気概がある人も、大胆になれる人も非常に少ない。なぜなら、反論する義務を強調し、奨励するリーダーは滅多にいないからである。

 マサチューセッツ工科大学スローン・スクール・オブ・マネジメントの名誉教授であるエドガー・シャインは、リーダーシップと組織文化の専門家であり、偉大な経営者の特徴について何十年も研究を重ねてきた。彼が繰り返し強調している特徴の1つは、謙虚さである。すなわち、異論を受け入れる資質だ。悲しいことに、そうした謙虚さはごく稀にしか見られない。

 シャインは著書『問いかける技術』でこう述べている。あるとき、彼は学生たちに、マネジャーへの昇格は自分にとって何を意味するか、と尋ねてみた。「学生たちはためらうことなく、こう答えた。『人にやるべきことを指示できるようになる、ということです』」。これはまさに、数多くの危機と失望を招いてきた「自分はすべてを知っている」型のリーダーシップである。

 シャインはこう警告する。「私たちの多くは心の底で、勝たないことは負けを意味すると思っている」。経営者らの「暗黙の前提」は、「人生は根本的に、そしていつ何どきでも、競争である」ということだ。しかし、謙虚さと野心は必ずしも矛盾するものではない、とシャインは主張する。不確実性にあふれる世界で大事を成し遂げようとするリーダーにとって、「野心を実現するための謙虚さ」こそ、最も効果的かつ持続可能な考え方なのだ。

 謙虚さを歓迎しよう。異論を歓迎しよう。そして、最近私たちが目にしているリーダーとは違う、もっと有益なリーダーシップを歓迎しよう。


HBR.ORG原文:True Leaders Believe Dissent Is an Obligation  January 12, 2017

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ウィリアム・テイラー(William C. Taylor)
『ファストカンパニー』誌の共同創刊者。最新刊は『オンリーワン差別化戦略』(ダイヤモンド社)。既刊邦訳に『マーベリック・カンパニー 常識の壁を打ち破った超優良企業』(日本経済新聞出版社)がある。

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