なぜ「チキンタツタ」の復活に、
「チキンタルタ」も同時発売したか

マクドナルドが実践する「広めていただく」マーケティング【第3回】

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3期ぶりに復活を遂げた日本マクドナルド。その裏で実践された「広めていただく」マーケティングを紹介する連載3回目。今回は、今年2月に発表された「チキンタツタ復活」の話題作りを紹介してもらう。
※バックナンバーはこちら第1回][第2回

チキンタツタ復活をどう自分ゴト化するか

 今年2月にチキンタツタを復活して販売をした。この商品は大変好評いただいていた商品であり、復活して販売すると言えば、ある程度はソーシャルで拡散することは計算できた。しかし、単に復活して販売するというだけでは、過去のキャンペーンと変わらない結果になる。つまり例年の数字を超えることはできない。そこで、ソーシャルでの拡散を意図的に起こすために、チキンタツタの復活にとどまらず「ライバルを同時に登場させよう」と考え、タルタルソースのかかった「チキンタルタ」という商品を同時に展開した。

唐澤 俊輔(からさわ・しゅんすけ)
慶應義塾大学法学部卒業後、2005年に日本マクドナルド株式会社に入社。史上最年少(28歳)で部長に抜擢され、2015年には社長室長として全社の変革に貢献。2016年1月より、ナショナルマーケティング部長として、新商品のプロモーション活動や、メディア・アライアンスの企画・実行に責任を持つ。グロービス経営大学院経営学修士(MBA)修了。グロービスマネジメントスクール講師。共著に『これからのマネジャーの教科書』(東洋経済新報社)。

「タツタ」と「タルタ」でどちらにしようか迷ってしまう、というのがこの企画の肝である。ランチでメニューを選ぶときに「どっちにしょうかなぁ」と迷うことが誰にでもあると思うが、この迷いながらそれぞれの商品のおいしさを想像している時間は、実はとても幸せな瞬間ではないか。このようなインサイトを消費者は持っていると仮説を立てたのだ。そして、「あぁ、その気持ちって分かるなぁ」と共感してもらえば、その瞬間その商品は「自分ゴト」となる。

 他人ゴトのうちは、自分とは関係ないので、ソーシャルでわざわざ書こうと思わない。しかし、「タツタ」と「タルタ」どっちを食べようか迷うという行為により、それが自分ゴトとなり、「自分はタツタが食べたい!」と瞬時にソーシャルで拡散する側に立っていただけるのだ。

「迷う」ということは、その後に「選ぶ」という行為を消費者にしていただくことになる。「選ぶ」ということを行った瞬間に、その消費者は商品に関与することになるので、その瞬間に選んだ商品は自分ゴトになる。そして、「自分はタルタにした。美味しかった!」というようにソーシャルに書こうという気持ちになるのだ。そしてそれがまた、他の消費者の目に触れ、拡散していくのである。

 コミュニケーションでは、徹底して「タツタか?」「タルタか?」と迷ってしまうという点に集中した。商品名も「チキンタツタ タルタルソース」とは呼ばず、あえて似ている「チキンタルタ」とした。販売価格も同じにし、チキンマックナゲットでもタツタ風の味とタルタ風の味の2品を出した。PR発表会では、わざわざ龍田(タツタ) 梨恵アナウンサーに司会としてお越しいただき、マクドナルド田端(タバタ)駅前店だけで、先行販売も実施するという徹底ぶり。ダジャレに過ぎないと思うかもしれないが、一貫して展開することで、送り手の想いは消費者に届くと私は信じている。

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