ドミノ・ピザのCEOが
レガシー企業で起こした大変革

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奇抜なキャンペーンで世間をしばしば賑わすドミノ・ピザ。2010年のトップ就任以降、CEOのパトリック・ドイルは変革をどう推進してきたのか。


 企業とリーダーは、たとえごく平凡な事業領域にあっても、非凡なことを成し遂げられる――。これは、私が過去1年半を費やして調査と執筆をしてきたテーマである。

 シリコンバレーのプログラマーや、バイオ分野で遺伝子組み換えに従事する人でなくても、刺激的なイノベーションを起こして巨大な価値を創出することは可能だ。むしろ、リテール銀行、工業用品販売、あるいはオフィス清掃といった業界においても、事業の意味を根本から見直すことはできる。

 かく言う私も、最も非凡なイノベーションの一部をピザ業界で見ることになるとは、思いも寄らなかった。

 2016年11月のある日、私はデトロイトにいた。ミシガン州の大手企業団体「ビジネスリーダーズ・フォー・ミシガン」が主催する、CEOサミットに出席するためだ。イベントの最初の講演者は、近隣のアナーバーに本社を置くドミノ・ピザのCEO、パトリック・ドイルだ。彼は何を話すのだろうか。最も人気のトッピングに関する説明、くらいしか私には予想できなかった。

 しかし、その後に私が聞いたのは、伝統的で変化の遅い業界において、急進的で根本的な変革をどう起こすかについてであった。ドイルの教えは魅力的で説得力にあふれていた。講演のタイトルは、「レガシー企業の変革:テクノロジー駆動型で、機敏で、カテゴリーを破壊する組織にする方法」。内容はその通りのものだった(講演資料)。

 ドミノ・ピザの変革の規模は、目を見張るべきものだ。ドイルがCEOに就任したのは、低迷が何年か続いた後の2010年。当時、同社の成長は鈍化し、株価は8ドル76セントという安値で停滞していた。それが現在、ドミノ・ピザは世界で2番目に大きなピザチェーンとして、80を超える国で1万3000以上の店舗を構え、株価は180ドルを超えている(2017年2月)。同社は深夜番組でのジョークの標的から、CNBCの金融番組で証券コンサルタントが勧める銘柄へと変身を遂げたのだ。

 ドイルと従業員は、これほど短期間にかくも大規模な変革を、どのように引き起こしたのか。

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