自己否定の「内なる声」には
4つのステップで打ち勝つ

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自分を責める「内なる声」が頭から消えない。そんな人たちに贈る、ポジティブ思考への転換法。カギは、「5対1」という比率にあるという。


 ほとんどの人が頻繁にやってしまう、自分を消耗させる振る舞いがある。それは、「頭の中の批判的な声」に耳を傾けることだ。

 その元々の原因は、外部からの批判か、あるいは自身が抱く恐れや疑いかもしれない。ともあれこの批判的な声は、「自分は力が足りない」「思いやりが足りない」「生産性が足りない」等々と語りかけてくる。研究によれば、マイナス思考を繰り返しているとうつ状態になる確率が増し、周りから孤立し、目標の追求が妨げられる。

 某ハイテク企業で10億ドル規模の事業を担当する上級バイスプレジデントのラジーブも、この思考に陥った。彼はスピード昇進し、輝かしい業績をいくつも収めてきた。彼が編成した複数のチームも、協力してうまく機能していた。

 だが組織の上に昇るにつれて、彼に対するフィードバックは減っていく。自分の仕事ぶりをさらに改善するには何ができるかについて、とにかく情報が欲しい。そこで彼は、私をコーチとして雇った。自分が周囲にどう認識されているかをもっと理解するために、15人の同僚たちにインタビューするよう私に依頼してきたのだ。

 インタビューの結果は、このうえなく肯定的だった。同僚たちはラジーブの頭のよさとビジネス手腕を敬愛し、将来を見据えて断固たる行動を取れる能力を称賛していた。

 ところがラジーブは、この肯定的な意見に目を向けない。代わりに、報告書で言及されていたごく些細な批判を重く受けとめた。目標に集中するあまり、その過程で人間関係をおろそかにすることがある。それによって同僚たちは、自分が無視されていると感じたり、焦ったりする場合がある、という指摘だ。

 ラジーブはこれを受け、ひどく落ち込んでしまった。

 このようなフィードバックは彼にとって初めてではなく、しかも妥当なものであった。だが、彼を失望に陥れるきっかけになったのは、指摘内容に関する実際の認識ではない。一部同僚のコメントのトーンや言い回しに囚われてしまい、頭の中で彼らの声を聞いたのだ。その声が原因で、彼はオフィスにこもるようになり、仕事のペースと生産性が鈍化し、ひいては重要なビジネス上の決断を避けるようになったのである。

 ラジーブには立ち直るための戦略が必要だった。いくつかの研究によれば、私たちは精神の安定、幸福感、生産性を実感するためには、頭の中の否定的な声1つに対して、肯定的な声5つが必要だという(英語記事)。ラジーブの場合は幸運にも、さらに5つの声を探し出す必要はなかった。報告書はすでに肯定的な声で溢れていたからだ。それらを利用するだけでよかった。

 我々は計画を立て、彼は4つのステップに従った。マイナス思考から抜け出して生産的になる方法を、以下に紹介しよう。

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