「最高のCEO」と
「並のCEO」を分ける3つの特性

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卓越したCEOの特性について、世界のCEO200人の精神測定データに基づく分析結果が公表された。性急さ、本質志向、他者からの学習などが顕著だという。


 優れたCEOに関するステレオタイプがある。外向的、セルフプロモーションがうまい、リスクを厭わない、などだ。しかし、これらは真実なのだろうか。CEOとその他の経営幹部を分ける特性は、はたして何か。そして最も重要なことだが、成功しているCEOとその他のCEOを線引きする特性とは何だろうか。

 CEOについて、そして、その仕事の成否を決定づける特性については、数々の憶測と神話が存在する。では、企業は新しいCEOを採用する際、何を見ればいいのだろうか。

 昨今の市場は変化が激しく、あらゆる業界でデジタルによる破壊的変化が起きている。ゆえに、この問いはかつてなく重要だ。当社ラッセル・レイノルズ・アソシエイツは、ホーガン・アセスメント・システムズと提携し、神話と現実を分けるべく調査を実施した。リーダーシップの主要指標のうち、企業の成長に測定可能なインパクトを与えるものを特定するという試みだ。

 その結果、最高のCEOと強く相関する特性は、外向性やセルフプロモーションのような従来言われてきたものではなかった。それよりも、(1)情熱、(2)本質をとらえて優先・集中する能力、(3)自分が何を知らないのかを自覚し、他者の知識を最大限に活用する能力、の3点に秀でていた。

 データに基づいた今回のアプローチには、妥当性があると我々は考えている。なぜなら、ラッセル・レイノルズ・アソシエイツとホーガン・アセスメント・システムズの2社が保有する精神測定データベースを調査の核としているためだ。他の研究者らはCEOの特性調査において、インタビュー、履歴書の分析、さらには音声パターンの検証といった方法を採用している。それに対して、我々はもっと掘り下げたアプローチを選んだ。定評のある3種類の精神測定手法(いずれも質問票検査)を用い、その結果を駆使して世界のCEO200人に関する詳細な精神測定プロフィールを作成したのである。

 精神測定手法の1つ目は「16PF」と呼ばれる検査で、成人の人格を16の特性から総合的に測定する。ここには対人関係スキル、感情要因、再起力、コミュニケーションのスタイルなどが含まれる。

 2つ目は職業的人格を測る「OPQ32」で、マネジメントとリーダーシップに関わる行動を調べる。他者への影響の及ぼし方、イノベーティブな思考への姿勢、自己動機付けなどがある。

 3つ目は「ホーガン・デベロップメント・サーベイ(HDS)」で、マネジャーと経営幹部の要育成部分や潜在的な劣化要因を見る。意思決定のスタイル、思考の自立性などが含まれる(英語サイト)。

 ここから導き出した傾向を、ホーガンが持つ世界700人のCEOのデータと照合して検証。その後、これらのCEOを、我々が保有する上級幹部9000人のデータベースに含まれる、CEOではない幹部と比較した。

 この分析により、CEOと幹部の母集団全体との間には、多くの人格特性において有意差が示された。なかでも2つの特性が際立っている。リスクを適切に受け入れる能力と、とにかく行動を起こしてチャンスをものにしようという姿勢だ。我々はこの2つを「CEO人格のエッセンス」と判断した。つまりCEOは、他の上級幹部よりもはるかに慎重さに欠けていて、行動を起こしやすいのだ。

 冒頭で挙げた(リスクテイク以外の)ステレオタイプに関していえば、外向性とセルフプロモーション能力は、CEOが一貫して秀でている様子は見られなかった。

 他にも、典型的なCEOと非CEO幹部を分ける、統計的に有意な特性が6つある。

・意欲と再起力
・独創的な考え方
・未来のビジョンを描く力
・チームビルディング
・積極的なコミュニケーション
・他者に行動を促す力

 CEOのマインドセットについて、これほど詳細な精神測定データを得られることは珍しい。かつ、そのデータを企業の業績と関連づけられることはめったにない。我々はこの関連づけに当たり、CEOの在任期間における複合年間成長率5%という定量的ハードルを設けた。

 最も優れた業績を上げたCEOと並のCEOの結果を比較したところ、前者が秀でているのは次の3点であることがわかった。

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