仕事へのオーナーシップと
ポジションに居座るジレンマ

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マネジャーにとってなくてはならないのは、事業へのコミットメントであり、最後までやりきる覚悟である。その一方で、組織のマネジャーは一つのポストに居続けることはできず、また居続ける弊害もある。このジレンマはいかに解消できるのだろうか。

続ける覚悟のないリーダーに、人はついてこない

先週のブログにも書いたのですが、ある創業経営者の言葉が忘れられません。それは「リーダーとしての自分の強みは、絶対にやめないというコミットメント」というものです。この覚悟こそ、リーダーに最も必要なことだと痛感します。

 よく大企業のサラリーマン経営者と創業経営者の違いとして、このコミットメントの高さが言われます。創業経営者は、会社はいわば自分の分身であり、そのコミットメントは言わずもがなです。一方のサラリーマン経営者は、「バトンをつなぐ」という表現が使われるように、2期4年などの任期を全うすることが主眼となり、そのため自分の任期中の業績を最大化しようとするあまり、長期的な経営観を持ちにくくなります。

 これは経営者というレベルだけではなく、組織内の一部門長や事業の責任者も抱える問題です。既存の企業には、それ相応の役職(ポスト)があり、業績を上げたり将来を見込まれたりした人材がそのポストに就くことになります。とりわけキャリア形成の段階では、複数のポストを経験することで多様なスキルと経験を身に着けられるので、一つのポストに留まる期間が数年ということになってしまいます。このような状況で、自分に任されたポストに対し、どこまでオーナーシップを持てるかという問題が浮上します。

 実は私自身、ハーバード・ビジネス・レビュー(DHBR)編集長というポストを任され、そのことをよく考えます。実際にDHBR編集長というポストに就いた際、誤解を恐れずに言えば、多くの方の私を見る目が変わりました。これまでなかったような方からの面談や訪問の依頼が急増しました。そして、私自身、これまで経験できなかったような人や課題との出会いが無数にあり、非常に得難い経験をすることができています。自分で言うのもおこがましいですが、それで成長も実感できました。つまり「立場が人を育てる」という現象をまざまざと体感したのです。

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