企業社会を主体的に生きるため
経営学という「ことば」を知る
――書評『ゼロからの経営戦略』

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ハーバード・ビジネス・レビュー編集部がおすすめの経営書を紹介する本連載。第43回は一橋大学大学院商学研究科教授の沼上幹氏によるゼロからの経営戦略を紹介する。

ラーメン店チェーン、
幸楽苑と日高屋の儲け方の違い

「現実の企業に関するケースを読み解きながら、経営戦略の基本概念とその使い方を学び、その上、社会科学の面白さが伝わるような本」。本書の「はじめに」に書かれている狙い通りの本である。

 読者対象の想定は、ビジネパーソンや経営学入門者だろうか。マーケティング・ミックス(4つのP)、リソース・ベースト・ビュー、ポジショニング・ビュー、スパン・オブ・コントロール、リバース・イノベーションなどの経営理論について、平易な文章で紹介している。

 しかも、これらの理論を学ぶと、何が見えてくるのか、ビジネスでどう役に立つのかが、面白くわかるように、最初に現実の企業のケースが書かれている。

 例えば、多くの人々になじみのある2つのラーメン店チェーンの幸楽苑と日高屋が、どういう経緯で創業し、一時は経営不振に陥りつつも、そこからいかに経営を立て直して、今日の躍進を実現したかが書かれている。その興味深いストーリーを読み進めていく中で、経営理論から見た両社の違いがわかるのである。

 両社は、収益を伸ばすビジネスモデル、儲け方が異なるというのだ。一例を挙げると、幸楽苑は製造直販業の仕組みで多店舗チェーン展開を実現して急成長を遂げているのに対して、日高屋はマーケティグ戦略を緻密に遂行して高収益を達成している。

 製造直販業とは何か、マーケティング戦略をいかに利益に結びつけるのかなどが、両社の活動についての解説を通じて理解できるようになっている。

 こうした経営理論についてある程度の知識がある読者が読んでも、ぐいぐいと本書に引き込まれるであろう。その理由は、ケースを扱う上での含蓄とその切れ味のためである。

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