富士ゼロックスの面々が、
和気あいあいと仕事観を描く

DHBR連載「リーダーは『描く』」の取材現場レポート

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DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの連載「リーダーは『描く』」。今月は富士ゼロックスの栗原博社長にご登場いただきました。一緒に描いたのは役員と2人の社員。社長と役員は気心が知れているのか、会場に入ってくるなり軽口を交わします。一方で、普段は経営陣と接点のない社員のお二人からは、少しばかり緊張感が伝わります。出足は対照的なコントラスト。そこから、ワークショップはどう進んだのでしょうか。みなさんの描いた絵には、どのような思いが込められたのでしょうか。当日の模様をお伝えします。(構成・新田匡央、写真・鈴木愛子)

1枚の絵から浮かぶ多様なイメージ

 ワークショップは、このプログラムを共催するホワイトシップ代表の長谷部貴美さんによるオープニングトークから始まり、アーティストの谷澤邦彦さん(kuniさん)の絵を鑑賞するワークへと進みます。絵を鑑賞することで、参加者が持っている絵に対するハードルを下げるとともに、絵を見ること、絵を描くことは自由な発想でいいという心構えを形成してもらうためです。

「アートは1つの答えがあるわけではなく、みなさんが感じたことが答えであり、人によっていろいろな答えがあるのがいいところなんです」

 長谷部さんの言葉を合図に、参加者は見る角度や距離を変えながら、1枚の絵をじっと見つめます。手には付箋とペン。数分後、それぞれがどのようなイメージを持ったのかを発表していきます。

「誘い」「引き込まれる」「着てみたい」などのイメージを挙げたのは、システム・ソリューション・サービス部でシステムエンジニアとして働く船田美乃さんです。

「この絵の中だけで世界が完結していると捉えると、引っ張られるようなイメージを持ちました。でも全体の一部分としてとらえ直すと、趣味のベリーダンスの衣装の一部を切り取ったように感じたのです。そこから着てみたいという言葉が出てきました」

 そう語る船田さんは、朝から緊張していたといいます。

船田美乃さん

「今も、顔がこわばっているのが自分でもわかるほどです。絵を描くことからもずいぶんと離れていますが、何か感じるものはあると思うので、それを表現したいと思います。でもこうしてしゃべっているうちに、少し前向きな気持ちに切り替わってきましたね」

「海のにおいがする」「さわやかな風がふいて来る」「アンモナイトのお姫様」というイメージを挙げたのは、画像形成材料領域、生産および生産技術全般を担当する常務執行役員の市村正則さんです。

「青を基調にしているので、海のイメージが湧いてきました。さらにじっと見ていると、海のにおいまでしてくるようです。渦を巻いている部分からは、心が安定するようないい感じの風が吹いているようなイメージが浮かびます。また、渦といえばアンモナイト。そのきれいな色合いが、お姫様のように思えたのです」

市村正則さん

 そのイメージを、栗原さんが「ロマンチックだねえ」とからかいます。そんな言葉が出てきたのは、市村さんが絵に親しんできたことに理由にあるようです。

「学生時代まで、絵が好きだったんです。でも社会人になってからはすっかり描かなくなってしまいました。とはいえ、妻と一緒に絵を見に行くなど、絵から完全に遠ざかったわけではないので、今日は楽しみにしていました」

「ことだま」「お香のけむり」「みみずの誕生」というイメージを抱いたのは、調達本部で新商品のプロジェクトの調達戦略の立案などに携わる山鹿勝也さんです。

山鹿勝也さん

「私はよくお香を焚くのですが、その煙を上から見ることはあまりありません。もしかしたらこう見えるのではないか。そんなふうに思ったのです」

 山鹿さんも、ワークショップへの参加が決まったとき、憂鬱な気分になったそうです。

「でも、この会場に来てから、少し楽しみにもなってきました。自分でも知らない、心の奥底にある何かを表現できればいいなと思っています」

 そして「宇宙をさまよっている」「渦に吸い込まれる」「中が熱い」「淡い」「全体的にやさしい」などの言葉を挙げたのは栗原さんです。

栗原博社長

「果てしない宇宙のどこかにこういう世界があり、そこに行ってみたいと思いました。でも、行ったら熱いだろうなとも思ったのですが、遠くから見てみるとそういうふうには見えない。淡く、包み込むようなやさしいイメージなのかもしれないと感じました」

 栗原さんは、何の準備も心構えもないままワークショップに参加したといいます。

「息子は上手ですが、私は絵心がないですね。ただ、絵を見るのは好きですから、いったいどんなことになるのか、今から楽しみです」

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