有事対応に大切なものは何か
――書評『よい謝罪――仕事の危機を乗り切るための謝る技術』

1

ハーバード・ビジネス・レビュー編集部がおすすめの経営書を紹介する連載。第42回。あの吉本興業で長年広報を担当し、謝り続けてきた“謝罪マスター”、竹中功氏によるよい謝罪――仕事の危機を乗り切るための謝る技術を紹介する。

35年間培ってきた謝罪のノウハウ   

「悪事、千里を走る」という言葉がある。「悪いことをしたという評判はあっという間に世間に知れ渡り、遠方まで広がる」と言う意味で、中国の『北夢瑣言』の一節から来たものだが、現代はこの傾向がますます高まっているのではないだろうか。ニュースは即座にネットに流れ、場合によっては、ツイートなどによって拡散され、多くの人々が知るところになる。そして、昔は「人の噂も75日」であったのに、ネットの世界には「悪事」がいつまでも残ってしまう。

 企業にとって「悪事」と言えば、さまざまな不祥事である。今年だけを考えてみても、自動車会社の不正データ問題や食品会社の缶詰への虫混入問題、記憶に新しいところでは大手メディア企業におけるキュレーションサイト問題などが起こっている。このような、起こってしまった「悪事」に対して、どう対応すべきなのか、その方策を示してくれているのが本書『よい謝罪』だ。

 本書の著者、竹中功氏は、あの吉本興業で長年広報担当を務めてきた。その間、所属する芸人たちが起こしてきた交通違反、暴力事件、反社との関係など、さまざまな問題(竹中氏は「有事」と表現している)の謝罪を引き受けてきた。これまで培ってきた謝罪のノウハウが存分につまったのが、本書である。お笑いのマネジメント会社の謝罪の方法なんて、一般の会社の参考になるのか?などと言うなかれ。謝罪の準備、謝罪のやり方などの実際面だけでなく、「人が怒るとはどういうことか」など、謝罪の本質というものにも言及した本書は、語り口は軽妙で平易だが、有事対応や危機管理の指針となる本だと思う。

次のページ  有事を起こさないための準備»
1
無料プレゼント中! ポーター/ドラッカー/クリステンセン 厳選論文PDF
Special Topics PR
DHBRおススメ経営書」の最新記事 » Backnumber
今月のDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー
最新号のご案内
定期購読
論文オンラインサービス
  • facebook
  • Twitter
  • RSS
DHBR Access Ranking