「ダークデータ」に光を当て
経営資源として活用する

――人工知能でテキスト・音声・画像データの解析が可能に

現在、日本企業が分析するビッグデータの大半は、業務系システムからの売上・利益データや、顧客管理情報などのテキスト文章だった。しかし、これからの人工知能(AI)を使った情報分析では、多言語の文章や音声、画像や動画など、これまで「ダークデータ」と呼ばれ分析の対象にならなかった巨大データを正確に認知&分析できるようになった。それらと既存の企業データを突き合わせた新しいビジネス分析が、エリア・マーケティングなどを含めてすでに実用化されている。

「ダークデータ」という言葉をご存じだろうか。企業が生み出したり手に入れることができるビッグデータのうち、多言語の文章や音声、画像や動画など、これまで分析の対象にならなかった巨大データのことだ。なぜ分析できなかったかというと、データのフォーマットがまちまちなため、従来のコンピュータの速度ではそれらを読み解き、意味を理解して分析にかけることができなかった。かといって人手によってそうしたデータを1点ずつ読むことは、量が多すぎてまったく現実的ではない。そのためながらく「光の当たらないデータ」として放置されてきたのだ。「ビッグデータ」が当初騒がれたほど企業の役に立たないと、期待外れに思われてきたのは、このダークデータを収集できても分析できない状況が続いてきたからである。

根元良一
日本アイ・ビー・エム
コグニティブ・ソリューション担当部長

 しかし、そうした状況を変える技術が登場した。「コグニティブ・コンピューティング」と呼ばれる、非構造化データも読み解き、人がルールを決めなくても学習しながら意味を理解していくコンピュータシステムだ。強力なコンピュータのパワーと自然言語解析やつながりの構造分析などの技術を組み合わせ、分析が難しかったデータから因果関係や傾向を導き出し、スコア化することができる。しかもクラウドシステムのため、サービスの契約をすればだれでも利用することができるのも特徴だ。

 ただし、ここまででは単なる科学技術の進化に過ぎない。この力を人が利用するには、コグニティブから生まれた分析結果を既存のビジネスデータとつなぎこみ、意思決定に使えるようにする「情報インフラ」が必要だった。

 この2つが融合して、はじめてダークデータの活用が果たされるが、すでに成果も挙がっている。代表的なコグニティブ・システムである「IBM Watson」が、人間では到底読み切ることができない2000万件というカルテを読み解くことで得た洞察をもとに医師へアドバイスを提示し、診断の難しい患者の治療に成功した事例が報告された。この事例はNHKのTV番組でも特集されたので、ご存知の方も多いかもしれない。 >>日本IBMのページに続く

 さまざまな業種でダークデータをビジネス分析に生かすことが期待されているが、注目されている分野の1つが、「エリア・マーケティング」だ。IBMコグニティブ・ソリューション事業の根元良一部長は、地図・気象・SNSといった「ダークデータ」を企業の高度な顧客情報分析と融合することで次元の異なるエリア・マーケティングができる、と提案している。

 根元部長は語る。「データは第2の天然資源といわれています。なぜなら原油と同じで、そのままでは経済的な価値はありませんが、精製してガソリン・灯油・重油・ナフサなどに加工することで、経済的な価値は何倍にもなります。データも同じです。人間に有用なものに精製して初めて経済的な価値が倍増するのです。

 たとえば流通業におけるPOSの売上データも同じです。レジの数字をリアルタイムに処理して分析結果を出すだけでは、“目標に到達したのか”という単純な判断にしか使えません。しかし、その店舗の前を走る車の交通量、人の流れ、街のイベント、刻々と変化する気象情報を、POSデータと融合して分析すれば、IT自身が結果を導き出した原因、改善策を分析することができます。また、その地域の所得水準、SNSに流れるお客様の嗜好、生活様式などをさらに組み合わせることによって、その原因分析と改善策は、より精緻なものとなり、店長にマーケティング施策を提言できるようになるのです」

 この新しいエリア・マーケティングの実現には、「ダークデータ」だった地図・気象・交通などの情報を分析する先進のITインフラが必要だ。IBMでは 「IBM Metro Pulse」と呼ぶシステムを構築、流通・サービス業だけでなく、通信、不動産、製造、ゲーム・娯楽業界などからも注目を集めている。

 欧米ではすでに実用段階にあるという。「たとえば、飲料の自動販売機は、1台1台が立地する場所の交通量など、前述した地域情報によって陳列すべき商品やその数量、価格を最適化すべき商品です。IBM Metro Pulseを使って、数千、数万台の自販機それぞれに最適な商品の配置が可能となり、ビジネスパフォーマンスの向上につなげています」(根元部長) >>日本IBMのページに続く

 こうした事例を含め、以下のリンクでは、IBM Metro Pulseについて根元部長による詳しい解説を掲載している。ぜひ一読して欲しい。

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