想定外を楽しむ技術

何事も計画した通りに進まないことが多く、それがストレスになる。しかし想定外を楽しむことができれば、柔軟に前向きに突発事項に対処できるはずである。

すべて想定通りに進むと、人生は楽しくなくなる

 人は変化を好むのか、好まないのか。

 以前ある経営者がお話していたことが印象的でした。

「朝起きた時に、その日の予定を思い出しながら一日をイメージする。夜寝る時に、朝に思っていた一日とまったく違った一日だったなと思うと楽しくなる」と。

 経営者の仕事は、特に突発的な事象に左右されます。会議がいくつあって、誰と会って、夜はこういう会合に出席する、という予定すら、実際に変更になったり、思わぬことに時間を取られたりします。こういう事態を楽しめる人こそ経営者という仕事に向いているのかもしれません。

 人は想定外のことが好きなのか、嫌いなのかを考えます。好奇心の強さは人それぞれと言ってしまえば元も子もないですが、人間の本性として変化は好きなのか。

 想定外のない日常はつまらないと思います。未来を予測したいと誰しも思っているでしょうが、実際に未来が予測できてしまうと人生楽しくないはずです。好きな異性に告白する醍醐味は、相手の気持ちに確信が持てないからです。予測できたら、何の不安もなく告白できますが、結果が分かっているんでワクワク感はゼロだし、受け入れてくれた際の喜びもゼロです。結果が予測できれば「告白」や「プロポーズ」はイベントではなく、事務的なコミュニケーションに成り下がってしまいます。

 街中でばったり友人に会った時の嬉しさは、まさに想定外がもたらすものです。サプライズパーティが楽しいのも、当事者が期待していなかったからで、期待されていたら、期待を超えることはできないのです。

 僕らは常に正しい予想をしたいにも関わらず、予測や期待が常に一致した世界で生きたいとは思っていないはずです。大袈裟に言えば、人生には終わりがあることはわかっているが、それがいつなのかはわからない。しかし「人生がいつ終わるか」を知って生きたいと思うかどうかも疑わしい。

 話が大袈裟になってしまいましたが、人は変化を好む・好まないとは関係なく、変化する環境の中で、想定外の出来事に対処しながら生きなければいけない動物なのです。

 こう考えると、僕らにできることは3つしかないように思えます。

 1つは、想定できる範囲のことは、自分でコントロールする。小さな例ですが、整理整頓は、探しものをするストレスを減らすためです。必要なものが必要な時にすぐ取り出せるように置き場を決めておく。意外なところから探し物が見つかってもワクワクしないはずですから、コントロールできることはコントロールする。1週間の仕事は金曜日までだから、仕事は早めにかたづける。

 2つ目は、世の中「こんなはずじゃなかった」に溢れていることを前提にすること。思うようにいかないことが多いと考えれば、想定外のことがストレスではなくなるはずです。思うように行くと期待しないことです。

 最後は、自分に降りかかる想定外は楽しむこと。「こんなはずじゃなかった」という事態は、必ずしも悪いことばかりではありません。宝くじに当たるのも想定外でしょうし、たまたま出た会合が気の合う人との出会いとなったなど、素晴らしい想定外です。たまたま入ったお店のご飯が美味しかった、難しいと思っていた上司への説得がうまくできた、ネットで面白い記事を見つけた、電車でたまたま座れた、意外と空気が澄んでいて気持ちがいい、なぜか快便だった・・・。

 これらに気づくと、世の中には、意外と「素晴らしい想定外」に溢れています。(編集長・岩佐文夫)

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