生き方を問い続け、選択し続ける
――書評『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』

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ハーバード・ビジネス・レビュー編集部がおすすめの経営書を紹介する本連載。第39回は『ワーク・シフト』『未来企業』の著作でも有名な、ロンドン・ビジネススクール教授リンダ・グラットンの最新刊『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』を紹介する。

想像以上に長い人生を、いかに生きるか

 2015年の日本人の平均寿命は男性が80.79歳、女性が87.05歳。改めて数字を突きつけられると、人生の長さに驚かされる。20歳で成人だが、その時点ではまだ人生の4分の1しか終えていない。世界でみても、過去200年のほとんどの期間、平均寿命は右肩上がりで伸びているという。しかし、『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』で述べられていた一文はさらに衝撃的である。

「日本では、2007年に生まれた子どもの半数が107歳より長く生きると予想されるが、この数字はその後も伸び続けており、2014年に生まれた子どもの場合、その年齢は109歳だ。」

 幼少期から学生時代を経て、仕事に就く。60歳で定年を迎え、老後を過ごす。これまでは教育、仕事、引退という3つのステージを経て、人生は終わっていた。しかし、100歳まで生きるとなると、ライフステージの転換点は増え、生涯にもっと多くのステージを経験するようになる。人はより長く働き続ける必要があり、より長く自分の周りと良好な関係を維持する必要もある。本書はその副題にもあるように、まさに100年時代の人生戦略を考える1冊である。

 これまでの働き方が通用しないのではないか?そんな疑念は、近年多くのビジネスパーソンが抱いている。人工知能の急速な進歩により、「機械が仕事を奪うのでは」といった議論はしばしば巻き起こるし、新卒で入った会社に定年まで勤めることを、いまの20代、30代はそもそも現実的ではないと考えているだろう。

 技術の進歩や社会の変化によって、生き方のロールモデルが破たんしつつあるため、悲観的な見方を目にする機会は多い。しかし本書からはそのようなネガティブな気配は漂わない。一般に高齢化と呼ばれる状況も「長寿化」と呼ぶ。

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