優れた営業担当者と
優れたブランド戦略に共通する7つの原則

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「優れたブランド」と「優れた営業担当者」の手法には、共通点があるという。ブランド戦略の第一人者として世界的に活躍するデニス・リー・ヨーンが贈る、営業とブランド構築の7大原則。


 営業担当者および営業という職能の役割が変化していることは、すでに知られている。かつて営業担当者は、購入プロセスにおける最初の段階にいることが多く、顧客の意思決定に大きな影響を与えることができた。それが可能だったのは、価格や在庫、競争上の強みなどに関する情報をコントロールしていたためである。

 しかし、情報が至る所にある現在では、顧客は商品についてまず自分で調べ、その後に営業担当者と接触するのが普通だ。場合によっては、すでに購入の意思決定を下した後ということもある。eコマースと直販(中抜き)の普及に伴い、多くの顧客が、営業と関わること自体の意義に疑問を抱くようになった。さらに企業側も、営業の真の成功指標とは契約の数や規模ではなく、「適切な顧客」の獲得と維持であることに気づき始めている。

 この新しいビジネス環境で成功している優秀な営業担当者の行動は、「優れたブランド」がやっていることと共通している。私は最初の著書What Great Brands Doのなかで、優れたブランドが実行しているブランド構築の7大原則について解説した。そしていま、これらの原則が適用できるのは優れたブランドの構築に限られないと気づいた。それは営業の役割を、有益かつ持続可能で必要不可欠な職能へと立て直すことにも役立つのだ。

1.優れたブランドは内側から始める。優れた営業担当者は社内での貢献から始める

 優れた企業のブランド構築はまず、社内で徹底的な「ブランド主導型」の文化を醸成することから始める。これと同様に優れた営業担当者は、成功への第一歩が、実は社内での働きかけにあることを心得ている。

 彼らは、みずからの市場インサイトや顧客との直接的な交流チャネルを通じて、組織に多大な価値をもたらす。社内で「顧客の声」の役割を果たし、自社の製品開発、マーケティング戦略、顧客サービスをサポートするのだ。

2.優れたブランドは商品を売ろうとしない。優れた営業担当者は顧客と感情的なつながりを醸成する

 ハリー・ベックウィスの著書『「買いたい心」に火をつけろ!』によると、製品、サービス、専門知識を売ることで実質的に成り立っている企業は比較的少なく、ほとんどの企業は「満足感」を売っているのだという。「プログレッシブは、自動車保険ではなく安心感を売っている。すなわち、事故を起こしたら同社のスタッフが現場に駆けつけて、小切手を切ってくれるという安心感だ」

 同様に優れた営業担当者は、モノやプログラムを売ろうとはしない。その代わりに感情、ブランドのストーリーテリング、先駆的な思想の提起などを通じて顧客に訴えかけ、絆をつくる。そうすることで価格や機能への注意をそらし、顧客が大事にする感覚、体験し表現したいアイデンティティに訴えかけている。

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