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コミュニティ・ロボティクスで地域課題を解決
ベイエリアから、世界のモデルを目指す

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人にも、ロボットにもやさしい環境づくりを進めるべき

――ロボット・システムのコンセプト設計の重要性とともに、「ヒューマンセントリック・ロボティクス」の考え方が不可欠と説かれています。

 これまでロボットというと産業用ロボットが多かったのですが、今後、コミュニティ・サービス・ロボットが普及してくると、人と同じ空間でロボットが動くようになります。そうすると、人にとって使いやすい、親しみやすい、安全であるといったインターフェースに関わる技術が非常に重要になってきます。そこに注力すべきという考え方です。

 コンセプトの一つとして、「ユニバーサルデザイン・ウィズ・ロボット」があります。現在のロボットは必ずしも器用な手を持っているわけではないし、どこでも行ける移動機構を兼ね備えているわけではありません。そこで、ロボットにやさしい環境を整備しようとすると、なかなか賛同は得られませんが、人にも、ロボットにもやさしい環境づくりを進めようとなると、多くの人が賛同してくれます。人を中心として機能するロボットのあり方を考える必要があるのです。

――「ロボット技術で何をやるか、先に決めておく」とのことですが、簡単なことではなさそうです。

 もちろん、何をやるか先に決めるのは難しいことですが、キラーアプリに準じるものにトライして、それを見せていくことが大切です。いま、ロボット技術でここまではできるけれど、ここからはできないと示していけば、できない部分を研究課題に落とし込んで解決する人が出てくるかもしれない。要素技術を開発し、使う人を待っていたのでは、いつまで経っても物事が進みません。我々は、どちらかというと応用研究的なスタンスで取り組んでいるし、芝浦工大そのものが社会との連携や社会貢献を優先する文化を持っています。

 芝浦工大では現在、「Project-Based Learning(課題解決型学習)」が盛んに行われています。学生が町工場や高齢者施設、自治体などのコミュニティに入り込んでいって、現地の人々と一緒になって地域課題の解決に取り組んでいます。おもしろいのは、実際にやらせてみると、学生でも意外とできたりすることです。彼らの可能性を感じる場面も多々あります。

――ロボットをはじめ、革新的技術が普及した先に期待することは。

 機械やIT技術がやるところと、人がやるところは線引きが必要になるかもしれません。たとえば、自動運転技術もすべてお任せするのではなく、危険な場面に遭遇しそうになったときに、注意を促したり、危険を回避する方法を教えてくれたほうがいい。人の機能を支援するためのロボットのあり方を議論すべきであり、そうでないと、緊張感がなくなり、生活や人生に張りがなくなってしまうでしょう。

(構成/堀田栄治 撮影/宇佐見利明)

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