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コミュニティ・ロボティクスで地域課題を解決
ベイエリアから、世界のモデルを目指す

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公開された要素技術を組み合わせ、短期間で開発が可能に

――RTミドルウェアやRSNPといった共通技術を活用して開発したロボットには、どのような事例がありますか。

 一つは、写真撮影ロボットが挙げられます(写真参照)。「写真を撮って」と人が話しかけると、センサーで人数を把握し、位置を決めて撮影を行います。撮影データはその場で印刷することも可能で、実際に地域イベントに参加して、延べ数百人に記念撮影を行った実績もあります。写真撮影ロボットは施設や敷地内の巡回や点検などにも応用可能です。ロボットが自律的に移動して、目的のポイントで撮影を行い、撮影データをサーバに送ります。これを人が見てもよいですし、AIで分析し自動的に異常を検知することもできます。

 大切なのは、ロボット技術を用いて何をやるか、先に決めておくことです。そのタスクを実現するために必要な要素技術はすでに公開されているものもあります。知能機械システム研究室は機械工学が専門ですから、音声認識や画像処理といった技術は持っていません。しかし、自前で開発しなくても、公開されているRT(Robot Technology)コンポーネントを組み合わせることで、ロボット開発が可能になるというわけです。

 前述の写真撮影ロボットは、新たに開発したRTコンポーネント以外にも、再利用したRTコンポーネント、すでに利用しているRTコンポーネントを多数組み合わせて、修士課程の学生一人がわずか3カ月でつくり上げました。これが、企業内の研究開発部門となると最短でも半年くらいはかかるでしょう。企業の約2倍のスピードでプロトタイプをつくることができることは、利益の追求が問われない大学の研究室ならではのアドバンテージではないでしょうか。

――今後の活動展開について伺います。2020年の東京五輪開催に向けて進めている案件などはありますか。

 コミュニティ・サービス・ロボットによるビッグデータの収集と活用・行動について取り組んでいます。五輪開催時には、100台を超えるようなたくさんのロボットがつながって、ビッグデータの収集・分析を行い、地域の人々や外国人観光客に対し、案内サービスや見守り、防犯、コミュニケーションの活性化といったおもてなしサービスの実証の場にしたいと考えています。

 そのためにも研究開発を継続、発展させていくことが大事です。研究、開発、実証、実用化のスパイラルを大きく回し、ロボットとしていっそうのレベルアップを図っていきたいですね。

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