「未来をつくるU-40経営者」はこうして選ばれた

――20人が決まった8月29日「選出委員会」の全貌

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DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー(DHBR)創刊40周年記念号「未来をつくるU-40経営者」では、未来を切り開く40歳未満の若手リーダー20人が選ばれた。この選考で重要な役割を担ったのが、委員10人から成る選出委員会である。メンバーなど詳細はDHBRに譲るが、実は委員誰一人とも、この20人が選ばれるとは予想していなかった。今回、別媒体ながら特集企画に関わり、オブザーバーとして会議に同席した筆者の立場から、委員会でどのような議論がなされたのか、その興奮に包まれた会議の内幕をお伝えすることとしよう。(「週刊ダイヤモンド」編集部:小島健志、写真:鈴木愛子)

 

20人が決まった瞬間に沸き起こった歓声

 2016年8月29日午後7時、東京・渋谷にあるダイヤモンド社役員会議室には、張り詰めた空気が漂っていた。「日本の知性」とも評すべき有識者の委員9人(1人は欠席)がイスにもたれていた。誰も口を開こうとせず、ある人は腕を組み、ある人は天井を見つめ、またある人は目をつぶり、その時を待っていた。

 40歳未満の次世代リーダー20人を選ぶ目的に集められた「U-40 経営者選出委員会」。開始から2時間が経ち、議論は終盤にさしかかっていた。20人中18人は決まっていたものの、残り2人が決まらない。そこで、挙手による多数決を採ることとなった。

 委員は誰に投票すべきか考えあぐねていた。会議室内は静まりかえっていたのである。

 司会者の「よろしいですか」という言葉が沈黙を破った。候補者の名前が一人一人読み上げられ、ホワイトボードに「正」の字で得票数がカウントされていった。

 大番狂わせが起きた。大本命と目された経営者に票が集まらず、当初はほとんどの委員が注目していなかった経営者が選ばれた。20人全員が決まった瞬間、参加者から歓声と共に大きな拍手がわき起こった。

 委員一人一人の意見をあまねく受け入れた結果ではない。にもかかわらず、委員全員の表情は晴れ晴れとしていた。興奮気味に「こんな会議はこれまでになかった」と話す委員も少なくなかった。

 政府の委員会や上場企業の取締役会など、会議という会議をあまた経験してきた委員らがなぜ、こうも高ぶっていたのだろうか。まずは20人選出のプロセスを振り返ろう。

知名度に左右される人気投票よりも
委員の「直感」を重視

 そもそも、今回のプロセスは候補者150人から委員の意向も踏まえ60人まで絞り、その中からアンケートで8人を選んだ。DHBRの読者120人と、委員とは別の経営者・識者65人の得票数を基に決定したものである。

 経営者・識者と言っても、誰もが知る日本の上場企業社長らが名を連ねている。その投票結果だけ見ても価値のあるリストが出来ており、納得度も高い。

 ただし、アンケートだけでは知名度の高さに左右されるような、人気投票になりかねなかった。そこで、定量的評価が4割、定性的評価が6割になるよう、全体の6割にあたる12人を選出委員会で選ぶことにしたのである。

 委員会のメンバーは、上場企業の代表者や世界的な研究者など、いずれも日本を代表する識者である。その委員の「直感」にかけたのである。

 委員はまず、8人を除いた52人の中から、推薦したい人を5人まで選んだ。8月29日に開かれた選出委員会では始めに、各委員が推薦者とその理由を発表した。

 推薦理由は委員によって様々であった。「実績」に重きを置く者もいれば、「ポテンシャル」を選んだ者もいた。「経済的な価値」を重視する考えもあれば、「社会的な価値」を求めた考えもあった。

 実は、この時点で3票以上を獲得したのが2人、2票を獲得したのが10人、合計12人に達したのである。ここで議論を終えても良かったはずだが、そうはならなかった。

 ここから選出委員の議論が熱を帯びることになる。

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