組織には「敵対者」が必要だ
――書評『レッドチーム思考』

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ハーバード・ビジネス・レビュー編集部がおすすめの経営書を紹介する連載。第36回は、米国の超党派組織外交問題評議会(CFR)シニア・フェローのミカ・ゼンコによる『レッドチーム思考――組織の中に「最後の反対者」を飼う』を紹介する。

ローマカトリック教会に端を発するレッドチーム

「悪魔の代弁者」とは、ディベートなどで多数派に対してあえて反論をする人をいうが、これはもともとローマカトリック教会に端を発する。カトリック教会による聖人認定は、かなり場当たり的だったため、聖人の大安売りとなっていた。これを正すために13世紀に「列聖調査審査官」が設けられ、列聖の候補として挙げられたすべての証拠に対して細かい反対意見や反証を提出し、列聖審査をすることになったのである。この役職が後に一般的に「悪魔の代弁者」として知られるようになった。

 組織のリーダーは自分の組織の問題を把握するのが苦手だ。まず、自分の信念を裏付ける事実にばかり目がいく「追認バイアス」、そのリーダーの意向にそうことが自分の昇進になると考える「組織バイアス」などにより、自分の判断や行動にきちんとした評価ができにくくなるからである。またリーダーは、だれもが「反対意見は歓迎だ」と言うが、部下がそれを物申せる環境にある組織は皆無に近い。こうした状況を考えれば、強制的に「反対者をつくり、異なる見方や反対意見を提出させる重要性がわかるだろう。

 そして、この「悪魔の代弁者」の手法を現代に取り入れたのが、本書のテーマであるレッドチームだ。冷戦の中からアメリカ軍で生まれたレッドチームは、この15年ほどで急速に体系化され、その手法は欧米の企業にも急速に広まりつつあるのだ。

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