私にとって思考とは
「本物の情熱」を見極めるためのもの

ユーザベース代表取締役共同経営者・梅田優祐氏

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毎日通勤に2時間を要する生活を送るユーザベース共同創業者の梅田優祐さん。その時間が思考する時間に好都合だというが、仕事を離れる・集中するという「ON・OFF」の意識はないという。自然体で生活すべての中に仕事が入る「ハーモニー」の状態がもっとも理想だという(構成・新田匡央、写真・鈴木愛子)。

 

仕事中に遊びのことを考えることも「あり」

編集長・岩佐(以下色文字):経営者、とくにスタートアップ企業の経営者は、さまざまなことを考えなければならないと思います。梅田さんの場合、1日のうち自分1人で考える時間を確保されていらっしゃるのですか。

梅田優祐
株式会社ユーザベース 代表取締役共同経営者。
1981年生まれ。2004年横浜国立大学を卒業。コーポレイトディレクション、UBS証券投資銀行本部を経て、2008年に株式会社ユーザベース(UZABASE,INC)を設立し、代表取締役共同経営者に就任。産業、企業分析のための経済情報プラットフォーム「SPEEDA」と経済に特化したニュースプラットフォーム「NewsPicks」を展開。東京、シンガポール、香港、上海、スリランカに拠点を構える。

梅田(以下略):2010年のことだったと思います。第一子が生まれたとき、自然のなかで子どもを育てたいという思いが強くなり、東京から葉山に引っ越すことになりました。その結果、片道約1時間、往復約2時間、毎日電車に乗らなければならない状況が生まれたのです。1日のはじめと終わりに、家庭からも仕事からも離れた特別な時間と空間が半ば強制的に確保される。私にとって、それが考える時間になっています。

電車の中で考える。ルーティーンとしてやられていることはありますか。

 あまりにも処理すべき作業が多いときは、それらをこなすための時間に使うこともありますが、基本的には「思考」と「インプット」に使います。どちらに使うかは、そのときの気分ですね。行きの電車が思考、帰りの電車はインプットなどと決めているわけではありません。ただ、これまでの傾向を思い返すと、比較的帰りの電車ではインプットをすることが多いかもしれません。

 インプットは3種類ですね。本を読む、映画を観る、漫画を読む。アウトプットの質がインプット量に比例するのは間違いなく、インプットが細くなるとアウトプットも細くなるので、インプットは意識的にするようにしています。

インプットするものの選択は、どのような基準に基づいていますか。

 本でも漫画でも映画でも、あるいは雑誌やwebの記事でも、人から薦められたものは必ず目を通すようにしています。ただし、最初から最後まで目を通すわけではありません。本や漫画であれば最初の数ページ、映画であれば冒頭の数分目を通し、そこで自分に合わないと感じたら、決して無理はしません。新野(良介、代表取締役共同経営者)は非常に高尚で難しい本をたくさん読んでいることもあって、彼から薦められる本は、私にとってはかなり難解です。もちろん読まなければならないとは思うのですが、なかなか長続きしません(笑)。ですから、純粋に興味の持てるものをランダムに目を通すようにしています。インプットで一番大切な事は習慣として継続する事。そのためにも、無理をしないで楽しむ事を第一優先にしています。

遠方から会社に通うことを考えると、仕事のONとOFFが明確に線引きされているようにも見えます。梅田さんの場合、朝家を出て電車に乗った瞬間からがONですか。それとも、会社に着いてからがONですか。

 いえ、そもそもONとOFFという概念があまりありません。私にとって理想的なのは、ONとOFFの境目がない状態です。休みの日には会社のメールを見るのをやめる、仕事のことを考えるのはやめる。そういう意識になっている時点で、仕事とプライベートが対立構造になっているということです。仕事と自分が一体化していない、低い次元です。むしろ仕事が生活の一部になり、幸福の一部になり、仕事のことを考えるのが楽しくて楽しくて仕方がないから、意識したり制限したりしなくても勝手に考えてしまう。そんな状態が緩やかに続いている状態が理想的です。最近、アマゾンのジェフ・ベゾス氏が「ワーク・ライフ・ハーモニー」と言っていました。私にとっては、非常にしっくりくる言葉ですね。

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