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日本人の金融リテラシーを向上したい

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FinTech(フィンテック)のスタートアップとして注目を集めるマネーフォワードは、スマホを通じて個人向けに自動家計簿・資産管理サービスを提供するほか、中小企業向けに会計のクラウドサービスを提供する。銀行をはじめ、証券、カードなど外部企業と連携しながら、金融サービスの新たな世界観を構築しつつある。ネット証券から起業に至った経緯、今後の事業展開などについて、代表取締役社長の辻庸介氏に伺った。

「Open Bank API」で銀行口座と連携

――個人向けに自動家計簿・資産管理サービスを、中小企業・個人事業主向けには会計・確定申告などのクラウドサービスを提供しています。その特徴や強みは。

辻 庸介(つじようすけ)
マネーフォワード 代表取締役社長CEO
2001年、京都大学農学部卒業。2011年、ペンシルベニア大学ウォートン校MBA修了。ソニー、マネックス証券を経て、2012年、マネーフォワードを設立。2014年1月、ケネディ米大使より「将来を担う起業家」として米国大使館賞受賞。同年2月、ジャパンベンチャーアワード2014にて「起業を目指す者の模範」としてJVA審査委員長賞受賞。マネックスベンチャーズ投資委員会委員、一般社団法人新経済連盟幹事。

 「自動家計簿・資産管理サービスマネーフォワード」は、銀行や証券、クレジットカードなど2500以上の金融機関に対応した口座連携数の多さもさることながら、徹底してUX(顧客体験)にこだわり、ユーザーの意見を聞いて改善を続けてきたことが、圧倒的な支持を獲得するポイントになっています。

 さらに踏み込んで、銀行が保有する顧客の資産残高情報や入出金履歴情報を、銀行と顧客の同意の下に銀行外のサービスでも利用できるようにする「Open Bank API」を推進しており、住信SBIネット銀行、静岡銀行、群馬銀行、NTTデータ、日本アイ・ビー・エムなどともAPI接続を実施しています。銀行はいままで閉ざされた世界でしたが、Open Bank APIによって、ユーザーはセキュアに低コストで、正確なデータを銀行サービスで利用できるようになります。一方、参加企業にとっては、データ活用が標準化されるだけでなく、銀行自身もFinTechサービスのプラットフォームになることができます。こうした取り組みは当社独自のもので、海外でもまだ数行しか事例がなく、世界的に見ても先進的な取り組みと言えます。

 ほかにも、「マネーフォワード for ○○銀行」といった具合に、銀行向けにアプリを提供しているのは、おそらく我々だけです。スマホ向けに開発したアプリでは、金融機関以外にもヤフーや関西電力、お金のデザインなどと連携し、資産管理や省エネに役立つサービスも提供。お金に関する幅広いサービスのプラットフォームを目指して事業展開を行っている点が大きな特徴です。

 中小企業・個人事業主向けのクラウドサービスは、わずらわしい会計業務を自動化し、生産性を大幅に上げるのが大きな特徴です。たとえば、経費精算というと、基本的には交通費と領収書の入力が必要になりますが、経費精算サービスでは、駅名を入力するだけで自動的に経路を検索し、交通費を計算してくれます。領収書もスマホで撮影すれば、OCR(光学文字認識)で読み込んでくれます。当社でも、営業メンバーが毎月3時間以上かかっていた経費精算の作業が、いまでは20~30分で済むようになりました。

 日本の中小企業は生産性が低く、米国企業の6割程度といわれています。これを引き上げるには、ITなどさまざまなツールを使って、業務効率を向上させていくしかありません。経費精算以外にも、請求書管理や給与計算など、会計業務をはじめとするあらゆるバックオフィス業務をつなげて、自動化する世界を構築しようと考えています。さらに、FinTechの文脈では、お金の流れも変えていこうということもやっていて、クラウド請求書では、ネット上で請求書を自動で作成・送付し、登録したクレジットカードを通じて、2日後には入金がなされる仕組みで、中小企業にとってはキャッシュフロー改善にもつながりますし、資金を回収し損なうこともありません。さらに今後は、クラウドファイナンスで新しい融資のスキームをつくることも考えています。

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