「語る力」が世界を変える
――書評『TED TALKS』

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日本でも人気のTEDについてはすでに何冊も出版されているが、ついに決定版が出た。主催者のクリス・アンダーソンが書いた『TED TALKS』である。しかし本書の魅力はTEDの裏側を知ることより、「語る力」の魅力と威力を学ぶことである。

TEDはなぜ広まったか

 1984年に始まったTEDは、元々はサロン的な集まりでの講演会に過ぎなかった。それが、現在の代表クリス・アンダーソンが運営を引き継ぎ、2006年にインターネットで動画配信されるようになってから、世界的に広まった。

 TEDのスピーチは、わずか18分。登壇者は、科学者から医者、登山家、平和運動の活動家など実に多様だが、わずか18分のスピーチというシンプルな原則が、いっそう登壇者の多様な魅力を引き出している。

 本書は、このクリス・アンダーソン自らが書いたTED紹介本であり、サブタイトルには、スーパープレゼンを学ぶTED公式ガイド(The Official TED Guide to Public Speaking)とある。ただし、単なるTEDの手引書ではなく、「伝える」ことのプリミティブな要素が凝縮された一冊だ。

 本書を読むと、主催者がTEDの登壇者に、どれほど入念な準備を依頼しているかがよくわかる。話すテーマから構成、そしてビジュアルはもちろんのこと、原稿内容やボディランゲージまで。そしてリハーサルも繰り返してから本番に向かうようである。

 テレビやネットでTEDを見た人が多いと思うが、登壇者の話の上手さに舌を巻くばかりだったが、本書を読むと一部のカリスマを除くと、決して話すことが上手い人ばかりが登壇しているのではないことがよくわかる。そして本書では、普通の人がいかに伝えたいことを魅力的に伝えるかについて、実に細かく紹介されている。

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