Going Digital 社会、市場のデジタル化を日本企業変革のチャンスにする

多様な社員の能力をフルに活かす
人材マネジメント改革には
デジタル活用が鍵

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新卒入社から定年退職まで40年かけて、人を育てて成果を刈り取り処遇する、「40年刈り取りモデル」。高度経済成長期から多くの日本企業が採用してきたこの人事制度は、いまや多様化する被雇用者ニーズとのミスマッチを起こしている。さらに、サーキュラー・エコノミー時代に要求される「短くて速い事業サイクル」にも対応できない。こうした被雇用者の志向性やビジネス環境の変化に対応する人材マネジメントの仕組みを構築するには、デジタルを活用したプラットフォームが不可欠になるという。デジタルを活用した抜本的な人材マネジメント改革に日本企業はどのように取り組んでいけばいいのか。

「40年刈り取りモデル」から
「高回転な育成・貢献モデル」へ

――日本企業の人材マネジメントは今、なぜ変革を求められているのですか。

牧岡 宏 アクセンチュア 戦略コンサルティング本部 製造・流通 マネジング・ディレクター
東京大学工学部卒業。マサチューセッツ工科大学経営科学修士修了。丸紅、ベイン&カンパニーを経て2014年より現職。全社成長戦略、組織・人材戦略、M&A戦略、等の領域において、幅広い業界のコンサルティングに従事。

牧岡 根底にあるのは、使われていない資産の価値を収益に変える、サーキュラー・エコノミー時代の到来です。新製品の投入により買い替え需要を創出する"強制陳腐化モデル"が限界を迎え、これからは不特定多数の人に繰り返し製品・サービスを利用してもらう「短くて速い事業サイクル」の構築が必要になっています。こうしたなか、企業が持つタレント資産についても、より短くて速いサイクルでその価値を最大限活用すべく、「適時・適材・適所」の人材マネジメントを実現し、フルに能力を発揮してもらわないと対応できません。

 また、サーキュラーエコノミーの時代の人材については、これまでのように「同質」であることは害、「多様性」が不可欠という認識が重要です。カスタマーが多様化するだけでなく、製品・サービスの活用シーンや活用ニーズも無限に多様化していくため、企業においてそれを企画し運営する側の人材も多様でなくてはなりません。じつはこれは、これまで企業が活用に悩んでいた女性やシニア層の人材の力を大きくビジネスに活かす人材マネジメント改革のチャンスでもあるのですが、日本の経営者や人事部の対応は、顕在化したボトルネックを都度取り除きに行く、単発的且つ後手後手な施策にとどまっています。

植野 これまでの日本企業の人事制度や人材マネジメントの仕組みは、人材投資~成果創出~承認・報償のサイクルが新卒入社から定年退職までの40年で一回りする、「40年刈り取りモデル」が主流でした。20代は概ね下積み・育成期間、30代・40代は組織への貢献度が最大化し、老後のためのパフォーマンス貯金を積み立てる期間、50代には30代・40代の頃の貢献を労われ、高い成果を挙げなかったとしても厚く処遇されます。このモデルは、大量生産売り切り型のビジネスをベースに、一括採用された均質な社員でピラミッド状の組織をつくり、同じような働き方をし、同じように成長の階段を上り、長期予測を裏切らない成果を出してきた時代にはマッチしていました。

 しかし、変化の激しい事業環境において、短くて速い事業サイクルを回し、多様な顧客のニーズに応えていくためにはそんなにのんびりしていては間に合わない。2~3年の短期で、人材投資~成果創出~承認・報償のサイクルをクイックに回す「高回転な育成・貢献モデル」にシフトすべき時に来ています。

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