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ゼロベースで見直す
コスト削減戦略

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業種を問わず、コストダウンはすべての企業にとって永遠のテーマといってもいいだろう。こうしたなか、海外のグローバル企業をはじめ、日本企業でも注目され始めたコスト削減の手法が「ゼロ・ベースド・バジェッティング(ゼロベースでの予算設計)」だ。わずか1年目で、大幅に削減したコストの再投資によって高サイクルの事業を実現することも可能という。その具体的なやり方や効果、実績とはどんなものなのだろうか。

コストを見える化して
成長のキャッシュを生み出す戦略

――「ゼロ・ベース・バジェッティング(ZBB)」によるコストダウンがなぜ今、注目されているのでしょう。

赤羽 陽一郎 アクセンチュア 戦略コンサルティング本部 素材・エネルギー マネジング・ディレクター
早稲田大学政経学部卒業。ジョンズホプキンス大学SAIS修了。金融機関勤務を経て1999年アクセンチュア入社。エネルギー、電機、通信、小売など幅広い業界を担当。事業戦略、サプライチェーンマネジメント戦略、新規事業立ち上げ等のコンサルティング経験を有する。

赤羽 海外のグローバル企業を中心に、ZBBという手法によって驚異的なコスト削減が可能なことがここ5年ほどで明らかになったからです。さらに、2~3年前からは日本の医薬品や消費財メーカーがZBBを導入し、大幅なコスト削減を実現したことが国内でも話題になっています。

 経済成長の鈍化を背景に、早く利益を出したい、あるいは次の投資のための原資をつくりたいという考えからコストを見直す機運が高まっていることも、今注目されている理由の一つでしょう。ZBBの具体的な手順については後ほどお話しますが、アクセンチュアでは、コストの可視化を通して持続的な成長のためのキャッシュ創出を実現する重要な差別化戦略と位置づけています。

日本企業には“まだまだ濡れたタオルがある”!?

――日本企業は「もはや“乾いたタオル状態”、これ以上絞っても一滴の水も出ない」とよく言われるように、コストダウンについてかなり徹底しているのでは。

井上 直樹 アクセンチュア 戦略コンサルティング本部 シニア・マネジャー
慶応義塾大学卒、金融機関勤務を経て、2004年アクセンチュア入社。現在同社戦略コンサルティング本部シニア・マネジャー。主に消費財・製薬業界を担当し、事業戦略・マーケティング戦略・SCM戦略立案を中心に幅広いコンサルティング経験を持つ。

赤羽 たしかに日本企業はコストダウンが得意というイメージがありますね。ただし、それは資材調達の原価低減や工場における製造プロセスの合理化という部分に偏っているんです。じつは、原材料の調達から製品・サービスが顧客に届くまでのバリューチェーン全体、あるいは海外拠点を含めたグループ企業全体を見ると、まだまだ手を付けられる箇所があると言っても過言ではありません。

 例えば、複数のグループ企業がそれぞれ地方都市にオフィスを借りていて、そこの掃除を頼む会社がバラバラというケースがよくあります。そうした場合、事務所ごとにまちまちだった掃除会社を統一する、あるいは共同オフィスにするだけでも大きなコスト削減効果を得られるはず。事務所の数が多ければ多いほど効果的です。

 これまでグループ企業全体を見てコストが適切かどうかという視点がなかったため、こうしたムダが放置されたままになっています。そういう意味では、日本企業には"まだまだ濡れたタオルはある"といえるのではないでしょうか。

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