Going Digital 社会、市場のデジタル化を日本企業変革のチャンスにする

破壊する側になるか、破壊される側になるか
デジタル医療時代における ライフサイエンス企業への処方箋

――患者に対する成果向上に向けた再考、再形成、再構築

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ライフサイエンス企業は自らのビジネスモデルをボリュームベースからバリューベースに移行させつつあります。さらなる治療の専門家と患者自身の変化が、この変革をもたらしています。更に、デジタルテクノロジーの進展によって、これまで受けていた診察や治療を、はるかに詳細且つ安価に患者に提供できるようになったことが、この変革を加速させています。これからのリーダー企業は、従来の治療方法を破壊する企業です。そういった企業は、デジタルおよびアナリティクスによる洞察を重視し、患者に提供する医療の質的向上はもちろんのこと、経済性においても、よりよいアウトカムを達成することを、ビジネスモデル、オペレーティングモデル、そして企業文化の中心に据えています。

ライフサイエンス業界におけるこの根源的な変革は北米およびヨーロッパで急速に広がっています。かつては、製品志向で、治療法の数が勝者と敗者を分けていましたが、いまでは、より包括的な治療法、患者集団に関する深い洞察、それにデジタルサービスを組み合わせて、よりよいアウトカムを患者にもたらすことが重要になっています。

押し寄せる変化の波(1)

 ある業界で変革が起こった時、人はそれを「パーフェクトストーム(究極の嵐)」と呼びます。ヘルスケア業界にとっての変革は、まさにその様相を呈しています。

医療供給者は……

 (医師、病院、クリニックなど)かつては適切と思われるあらゆるケアを提供することが奨励されていましたが、いまでは、幅の狭い、エビデンスベースのガイドラインおよびコントロールの範囲内で治療を行うようになっています。大多数ではなくても、多くの医療提供者は患者の入院期間を短縮し、治療の範囲を限定し、急性期治療施設を持つのは避けたいと思っています。

 医療提供者は、患者個人に合わせたケアを提供する企業能力で評価されます。そのようなケアは患者が入院する前にすでに始まっています。しかし、それだけでなく、医療提供者は、患者が自宅や職場に戻ってからも、その効果を継続させ、再入院を防ぐ能力まで求められます。同時に、業界におけるパイプラインでは、対象を非常に限定した、専門的な治療法がますますあふれています。これらの治療はより高価であり、その価値を証明することが、これまでになく重要になっています。臨床試験通りに実際のアウトカムを示すことに対するプレッシャーは、かつてなかったほど高くなり続けています。

 また、医療供給者は競争の激化にも直面しています。想定外のプレーヤーが直接的なケアサービスの市場に参入しており、そのなかには薬局を含め、医薬品の小売業者が含まれています。一方、保険支払者もケアを提供および管理するビジネスにさらに足を踏み入れるようになっています。さらには、他業界の企業も患者が健康を回復および維持するのを支えるビジネスに参入し始めています。

テクノロジーは……

 この新しいアウトカム重視志向の主要な触媒です。アナリティクスやビッグデータによって初めて、ヘルスケアのプレーヤーは協調体制をとり、患者データを共有および分析して、患者の体験を完全に理解できるようになったからです。結果的に、企業は全体で、講じるべき手段、提供すべきサービスを決定し、コスト効率も効果も非常に高い方法で、患者のケアと健康上のアウトカムを向上させられるようになっています。

新たなコラボレーションが……

 ビッグデータと新たなアナリティクスで結びつけられたヘルスケアのステークホルダーの間で生まれています。すべての関係者が手を組んで、患者ケアのより統合的なアプローチについて、暗号を解く体制が急速に整いつつあります。これにより、まったく新しい方法で、リアルタイムに治療プログラムの効果を測定し、ケアに対する患者のアクセスを向上させ、価値と成果をもたらすように管理することが可能になっています。このように、データに基づく、リアルタイムのコラボレーション体制は、ヘルスケアにアプローチする従来の方法を破壊しつつあります。それは、ケアプロセスの各段階で患者が実際に何をしているのかが目に見えるようになっているからです。このように新たに可視化されたことで、業界は、患者とヘルスシステムにとってのベストのアウトカムと現状の間に、どのようなギャップがあり、また何が障害になっているのかを特定し、そのギャップを埋めるプログラムやサービスを構築することができるようになっています。

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