コミュニケーションの達人に変わる
7つの言い方

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会話がネガティブな展開になりそうな時、建設的な流れに引き戻すための7つの対応法を紹介。筆者は、コミュニケーション巧者になるカギは、「受け答えのレパートリー」を多く持つことにあるという。


 他者がどう接してくるかについて、自分側に少なくとも75%の責任がある。みずからの言葉と言外の振る舞いが、相手の反応の選択肢を狭めたり広げたりするからだ。

 たとえば、誰かがあなたのそばを通り過ぎるときに、「調子はどう?」と尋ねたとする。その人に向き直り、一緒に歩きながら調子を詳しく説明するようなことはしないだろう。相手は足を止めないことによって、求めているのが「わずかな頷き」や「短い返事」であると伝えているのだ。

 だが同じ質問を、立ち止まってあなたの目を見つめながら尋ねられたらどうだろうか。あなたの選択肢は変わってくる。それは相手の振る舞いが、単なる反射的な答え以上のものを求めているからだ。

 人間は例外なく習慣の動物である。そしてコミュニケーションにパターンがあるおかげで、すべての言葉を熟慮したうえで発するという作業を免れている。しかし、相手の反応の選択肢を広げられず、ゆえにやり取りが特定のパターンに陥ると、それは見透かされてしまう。

 たとえば、あなたが争いを避けるタイプだと知られていれば、相手はあなたを撤回や謝罪、辞退に追い込むような状況をつくりやすくなる。これは、自身が担う75%の役割の一部を放棄しているということであり、けっして望ましいことではない。

 そうではなく、受け答えのレパートリーを持ち、すぐに使えるようにしておけば、ありきたりのパターンから抜け出すことができる。たとえば、失礼な質問を客観的な問いかけとしてさばいたり、滑稽と思われる発言のなかに何らかの論理性を見出したり、侮辱を単なる言葉のはずみとして対処したり、といった技術を身につけることができる。それによって、習慣的なコミュニケーションパターンの犠牲にならずに、その事態をみずから掌握できるようになるのだ。

 その技術は、政治的に厳しい状況下では特に重要となる。そうした場面では往々にして、発せられる言葉とその真意は異なっている。政治色の強い職場で生き残り成功するためには、一定の処世術が必要になる。難しい状況への賢い対応法を知っておくことが大切なのだ。

 たとえば、ある人があなたに何かを告げた後、他の人たちには全然違うことを言うのを耳にしたとしよう。これは、政治色が強い組織では珍しいことではない。放置すべきか、恨みを抱くのか。その人物を2度と信用しないか。あるいは状況に直接対処すべきか。

 対応法をいくつも持っていれば、そこから選ぶことができる。事態が最初に生じてから間を置かずに効果的な対応をすれば、今後は同じことが身に降りかかるのを防ぐこともできるかもしれない。ふたたび二枚舌を使うことを、ためらわせるような対応を選べばよいのだ。

 受け答えのレパートリーが少ない初心者であれ、経験豊富な人であれ、多様な対応法をすぐに使えるようにしておくことは有用だ。以下に紹介する、戦術を分類した「Rリスト」はその役に立つ。ネガティブになりそうな状況に際して、これらを使いこなせば、重要な人間関係や自分の信用が傷つくのを防ぐ一助となるだろう。

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