顧客を創造するために
問われる企業姿勢とブランドの形

特別対談
一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授 阿久津聡氏
   ×
リブ・コンサルティング 代表取締役社長 関 厳氏

3

 通常、CS向上は購買頻度の増加や契約期間の長期化につながりますが、それらの結果がある程度上がっているケースでは、口コミによる新規顧客獲得を目的として、CS向上に取り組むというアプローチもあると思います。どのようなリターンの設計が適切かは、企業のビジネス特性などによりさまざまでしょう。その戦略を決めるのは経営者の仕事です。

阿久津 戦略のベースに企業理念がない会社は非常に不安定です。ここでいう企業理念とは、自分たちの会社は誰にどのような価値を提供するために存在するのかを示すミッション、ミッションを達成するうえで大切にしていく価値観、そして、3年後や10年後といった節目にあるべき姿として描くビジョンを包摂するものです。

 企業としての原点が明確であり、それに沿った戦略があれば、具体的なサービスについて「ここはさらに強化すべき」とか「これは必要ない」といった判断ができるはず。そのためにも、ミッション、価値観、ビジョンを象徴させる企業ブランドのマネジメントは極めて重要です。

 それは従業員を採用する際、あるいはまとめていくうえでも非常に大事だと実感しています。現在、当社の社員の2割以上を外国人が占めています。組織の多様性が高まれば、共通する価値観は必須です。

阿久津 人口減少やグローバル化の進展といった環境変化の中で企業が生き残っていくためには、性別、年齢、人種といったデモグラフィックの多様性を受け入れていくことは不可欠です。だからこそ、組織が大切にする価値観を明確にし、従業員との共有を徹底しなければなりません。デモグラフィックがバラバラなうえに、共有する価値観が何もない人たちが集まった組織のマネジメントは簡単ではありません。遅かれ早かれ崩壊すると考えるのが自然でしょう。

 従業員の多様性によって劇的に変化する環境の中で生き抜こうとするなら、まずはミッション、価値観、ビジョンからなる企業理念を、企業ブランディングを通して明確に打ち出し、社内外に向けて発信すべきです。そして、デモグラフィックを問わず、理念に共感、共鳴する優秀な人材に、広く採用の門戸を広げるべきでしょう。

 冒頭、企業姿勢そのものが問われる時代と話しました。それはミッション、価値観、ビジョンと言い換えてもいい。従業員や顧客に対して真摯に向き合ううえで、経営者はブランドについて真剣に考える必要がありそうですね。本日はありがとうございました。

 

対談の中で話題に上った“CS向上をリターン(売上向上)につなげる”方法として関社長が提案するのが「紹介営業」。単なる営業的な戦術ではなく、いかに経営戦略として組み込んでいくかを、著書『経営戦略としての紹介営業』の中で事例と合わせて詳しく解説している。>>>試読版をこちらからご覧いただけます

>>>詳細はこちら

 

 

<PR>

今月のDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー
お問い合わせ

株式会社リブ・コンサルティング

〒100-0004

東京都千代田区大手町1-5-1

大手町ファーストスクエア ウエストタワー20F

TEL:03-5220-2688

http://www.libcon.co.jp/