「日本らしさ」をアップデートする

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不可欠な存在になって
ものづくりの強みを活かし続ける

日置 もうひとつ、日本の強みはものづくりだとずっと言われていて、品質や技術の側面では確かにそうでしょう。それをどう活かすか。

日置 圭介
デロイト トーマツ コンサルティング
パートナー

入山 消費者向けの産業(B to C)は、一般に自国のマーケットである程度大きくなってから海外に展開していきます。すると、自国のマーケットの大きさによって規模拡大の可能性が異なってきます。その点、日本はどうしても限界があります。

日置 かつては世界第2位の市場があって、個人の所得レベルも伸びていたから十分な拡大の土壌と言えましたが、今ではそうではなくなってきていますね。

入山 米国の企業にとっても、「いちばん有望で厳しい市場」はやはり米国で、日本など他の国は余力でやっているにすぎないというところがありますよね。

日置 日本のものづくりが狭い分野でも世界一を取れているのは産業向け(B to B)に多くあります。B to Bの場合、ある製品に不可欠な部品になることで、優位を獲得し続けられるのではないでしょうか。インテルのプロセッサが「Intel Inside(インテル、入ってる)」の地位を築いているように。

入山 その可能性は十分にあり得ます。ただの部品だと、スマイルカーブの底辺になって買い叩かれるだけなので、「不可欠」なポジションが重要ですね。

日置 そのポジションを獲れる製品を創出するという観点から、今、若い世代からものづくりベンチャーが生まれているのは希望が持てることだと思っています。

入山 若い世代も2種類あるように思います。1つは就職先を大企業の看板や安心感だけで選ぶようなタイプで、大企業なら安心という神話が崩れるこれからの時代は厳しいと言えるでしょう。もう1つのベンチャーを創業するようなタイプの若者は、ビジョナリーで、自分のやりたいこと、やるべきことのビジョンがはっきりしている人も多くいます。僕らを含めて40代や50代には後者のような人材は稀有なのですが、今の若い世代は、この層が増えてきている気がします。

日置 彼ら彼女らが世界の産業にとって不可欠なものを生み出すことが、戦後の日本が培ってきた成功モデルと、新たな若い力が融合した「日本らしい」勝ち方になるのではないでしょうか。産業構造審議会などでは「第4次産業革命」としてAIやIoTにスポットライトが当たっていますが、キーワードとしてはともかく、内容的には既視感を覚えることも多いです。これを打破していくためには、勝てるものづくりを志すビジョナリーな若者を後押しできるか、補助金・助成金だけでない国のリソースを充てられるかという視点が必要です。

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