CxOの存在意義

~CxO3.0には何が求められるか

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前回は、進化するCxO像を3段階で整理し、タテ社会・日本における「ChiefでOfficer」を実現するための処方箋を考えてみた。ジェネラリスト型のCxO1.0、スペシャリスト型のCxO2.0、そして、複雑なグローバルビジネスを統合して価値を発揮する統合バリュー型のCxO3.0までの「進化するCxOの姿」から、あらためて、CxOの存在意義について考えてみたい。

統合して価値を発揮する
CxO 3.0へ

 CxO2.0における機能分化は現在も続いており、「x」にはアルファベットのほとんどが当てはまるほどになっている。また、「グローバル最適」に対する解を探求する旅に終わりがあるわけではなく、先進企業では、さらなる進化の兆しが見える。20世紀終盤からの市場の拡大とそれに伴うリスクの多様化、また組織の複雑性の高まり等が、経営陣のあり方に新たな価値を求めている。

 CxO2.0においてスペシャリスト化を推し進めた結果として、機能とその意思決定のあり方が「分化」から「分散」に傾きつつあるが、真にグローバルな経営を実現するために、機能と機能、あるいは機能と事業の間の壁を越え、これらを統合することの重要性を理解する一部の先進企業では、その統括者としてのCxO3.0を模索している。

 このCxO3.0では、1.0のジェネラリストとしての全体を俯瞰して意思決定する才覚と、2.0のスペシャリストとしての各領域のスキルや洞察の両方を併せ持ち、不確実性の増す経営の中でも価値を生み出すことができる「統合バリュー型」となることが要請される。

 統合の対象は、「機能間での統合」と、「ビジネスと機能の統合」という2つの方向性を持つ。前者は、データを活用したCRM (Customer Relationship Management)におけるCIOとCMOの関係のように、相互依存的な取り組みを協働して成功させることである。ファイナンスやIT、人事のような経営の基盤を構成するコーポレート領域のCxOには、このような複数の機能を俯瞰して見るジェネラリストであることが、より期待されるだろう。

 後者の例として、デロイト(米国)のレポートBusiness Trends 2014年版(*)では、事業が新しい国に進出したり、すでに進出している国でも新たな事業を展開したりする際には、CFOは従来的な“Chief Finance Officer”としての資金調達や会計オペレーション整備にとどまらず、“Chief Frontier Officer”として、そのオポチュニティを先回りして見極め、また現地の法規制やあらゆるリスクを鑑み、事業側にアドバイスできる存在になるべきであると、ビジネスに与える価値を表現している。

 ただし、例えば世界100カ国以上に事業展開する企業では、CFO一個人がすべての国の規制に詳しいというわけにはいかない。とすると、CFOが率いるファイナンス組織全体の力として、展開国の深い知識を担保していくことになるだろう。そのためには、メンバー各人のスペシャリストとしてのスキルはもとより、判断の基準となるミッションやバリュー、各国において事業とよい関係を構築するためのソフト面の能力を含めて組織力が不可欠であり、グローバル展開が加速する現代において、統合した価値を発揮するために、組織リーダーとしてのCxOの重要性も日に日に増している。

 このようなスペシャルな人材は、日本のみならず世界中を見回してもそれほどの母数があるわけではない。したがって、CxOこそがウォー・フォー・タレント(優秀人材の争奪戦)の中心地といえよう。このようなタレントに対しては、最適な仕事環境、サラリーはもちろん、それ以外に所属する意味や便益を提供し続けられるかが肝になる。顧客に対するブランディングもいま一つ苦手な日本企業であるが、優秀なタレントを勝ち取るためのブランディング戦略がCxO3.0の世界で求められている。

Business Trends 2014年版(日本語概略版)

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