Going Digital 社会、市場のデジタル化を日本企業変革のチャンスにする

ディープラーニングの進化は
効率的でストレスのない社会を実現する

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AIベンチャーとして、国内外の注目を集める株式会社Preferred Networks。その実力は、NTT、ファナック、トヨタ、パナソニックなど日本を代表する企業が認めるところだ。世界に誇る日本のものづくりとAI、ディープラーニングの技術が結びつくことで、どのような未来社会を切り拓くことができるのだろうか。東京・大手町の新しいオフィスに西川徹社長を尋ねた。

ロボット同士が賢く協調する製造システム

――トヨタ自動車、ファナック、パナソニック、NTTなど、日本を代表する企業と数多く提携しています。彼らが求めるPreferred Networks(PFN)の技術とは何ですか。

西川 徹(にしかわとおる)
株式会社Preferred Networks 代表取締役社長、最高経営責任者(CEO)
1982年生まれ。東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻修了。IPA未踏ソフトウェア創造事業「抽象度の高いハードウェア記述言語」、第30回ACM国際大学対抗プログラミングコンテスト世界大会19位。大学院在学中の2006年に起業、株式会社Preferred Infrastructureを設立。2014年にIoTにフォーカスしたリアルタイム機械学習技術のビジネス活用を目的とした株式会社Preferred Networksを設立。

 多くの国内企業が人工知能の活用を模索するなかで、我々のディープラーニングに注目しているのが大きな一つです。人工知能の活用に留まらず、我々は人工知能を育てつつ、賢くなった機械同士を賢くつなげるネットワークの研究開発にも取り組んでいます。そうしたビジョンに共鳴する企業が増えて協業が進んでいます。

 ディープラーニングを活用するスタートアップや大企業は増えていますが、我々はディープラーニングを使うだけでなく、ディープラーニングを実現するための仕組みそのものを自分たちでつくっています。自分たちのやりたいタスクに合わせて、フレームワークを拡張したり、コアの部分から手を入れて、さまざまな分野にいち早く適用できる点が差別化ポイントだと考えています。

――具体的な提携の内容と進捗状況について教えていただけますか。

 ファナックの例を挙げると、産業用ロボットにものをつかむ動作を教えるときに、いままでは人がプログラムを組んでいました。ところが、部品やものがたくさん並んでいると、どこをどうつかめばいいのか作業ごとに条件が変わってしまうので、プログラミングには膨大な手間がかかります。これを人工知能によって自動化する、つまり、人工知能が試行錯誤しながら、もののつかみ方を学習していくようなアプリケーションの開発を行っています。

 今年4月には、ファナックとシスコシステムズ、ロックウェルオートメーション、当社の4社共同で、工場向けIoT基盤「フィールド・システム」の開発を行うと発表しました。これはCNC(コンピューター数値制御装置)やロボットだけでなく、周辺デバイス、センサーを接続して、製造・生産を最適化するためのアナリティクスを提供するプラットフォームです。人工知能の分析アルゴリズムを進化させるだけでなく、エッジヘビーコンピューティング技術(データセンターだけでなく、ネットワークの端(エッジ)にあるデバイスで多くの処理が行われる分散処理の仕組み)を組み合わせることで、機械同士が柔軟かつ賢く協調し、いままでになかった高度な製造業を実現します。将来的にはシステムをオープン化して、ファナックを中心に製造業のエコシステムをつくっていけたらと考えています。

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