組織の境界線があいまいな時代の、
組織の求心力とは

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いまや垂直統合の事業を1つに絞って運営する企業は大きなリスクを抱えることになる。つまり組織は変化しやすい体質を兼ね備えた存在になることが求められる。そのような時代、組織に求められる求心力の質にも変化が求められるだろう。

 

一社単独で永続してできる事業は少ない

 いまの時代、垂直統合型の事業を一つだけで運営している企業がもっともリスクが高いと思います。ネットで繋がることが容易になり、かつ技術もスキルも高度の専門特化している時代において、バリューチェーンのすべてを一社で構築するのは無理があります。そしてそれが可能であっても、専門特化した企業複数で構築したバリューチェーンよりも、高い付加価値を出せるケースが稀だと思えます。

 その上、バリューチェーンの機能を一社で抱えるリスクが高まっています。高性能の機械を導入した最新工場も技術変化により、まったく別の形態の生産方式で代替できる可能性もあります。販売チェーンも消費行動が変われば、効率の悪い資産にすり替わってしまいます。大規模なITインフラでさえ、その改変にはハードウェアのみならず人件費を含んだソフトウェアの改変に大幅なコストを要することになります。

 そして、すべての事業について言えるのは、競争優位の賞味期限が短くなってきたことです。かつて戦略論で最も重視された「持続的競争優位」という概念の「持続的」という言葉が、どの程度の期間をさしていたのか。感覚的には、10年持続する競争優位などは、物理的な大規模インフラを呈する事業を除くとほとんど考えにくい時代です。

 戦略論の大家の一人、リタ・マグレイスは、2013年に『競争優位の終焉』という書籍を発行しました(邦訳の出版は2014年)。この本の中で、マグレイスは、「持続的」競争優位を否定し、「一時的」競争優位を数珠つなぎのように、切れ目なく繋げていくことの必要性を説いています。つまり築いた競争優位を絶えず更新していく持続的イノベーションの必要性です。

 競争優位の持続がますます難しい時代は、主軸事業とて決して安泰ではないという現実があり、シングルビジネスで勝負する企業のリスクが相対的にますます高まっているということです。

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