目標必達主義では、
人も組織も「迷路」を抜け出せない

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「迷路の出口に向かって進め」と命じられたロボットは、迷路から抜け出せない。ビジネスで成功を収めるためには、目標そのものに執着するのではなく、セレンディピティやピボット(方向転換)を促すほうが大切である。


「迷路を自力で抜け出せるロボット」をあなたが設計したいとしよう。どんなアプローチを取るだろうか。

 おそらく最初に、ロボットの目標をこう定義するだろう――「迷路の出口を見つけよ」。次に、ロボットが出口に向かって進むと報酬を与え、遠ざかれば罰するという仕組みをつくるかもしれない。そうすれば、やがては抜け出せるはずだ。

 だが、ロボットが出口のすぐ隣で袋小路に入ってしまったらどうなるだろう。位置的には目標に限りなく近いが、そこに達することはできない状態だ。しかも、ロボットは方向転換をしたがらない。そんなことをするとゴールから遠ざかり、罰せられるからだ。こうしてロボットは行き詰まってしまう。

 人口知能(AI)を専門とするケネス・スタンレー教授は、この問題、つまり定められたゴールの徹底追求がもたらす停滞について研究した。最終的に、彼と共同研究者たちはある単純な答えにたどり着く。報酬の対象を「出口に近づく」ではなく、「新しく、ユニークな方向を試してみる」としてはどうだろうか、と。

 このようにプログラミングを変更した結果、ロボットが迷路を解く能力は著しく改善した。40回の挑戦で以前は3回だった成功数が、39回になったのだ。スタンレーは他にも多くのAI環境で、課題を非目標志向にして検証し、同様の結果を得た。「新しいもの」を追求するように設定されたロボットは、以前は解決できなかった問題に対して、意外性と創造性に富むソリューションを生み出したのである。

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