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サーキュラー・エコノミーは今、
企業や社会をどう変えつつあるのか

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再生し続ける循環型経済、「サーキュラー・エコノミー」を提唱した話題の本『Waste to Wealth(無駄を富に変える)』が世に出たのは2015年9月。その後、生産と消費のあり方を根本的に変える史上最大の経済革命ともいわれるサーキュラー・エコノミーは、企業や社会にどんな変化をもたらしたのか。著者でアクセンチュアグローバル・マネジング・ディレクターのピーター・レーシー氏に、サーキュラー・エコノミーの現状と最新動向、デジタル技術との関係性などについて聞いた。


CEに取り組む企業が増え
ビジネスモデルのクオリティも向上

ピーター・レーシー(Peter Lacy)
アクセンチュア グローバル・マネジング・ディレクター
『Waste to wealth』著者。10年以上にわたって、サステナビリティ戦略や政策のコンサルティングに携わる。世界各地でサステナビリティをテーマとした講演を行う他、企業や大学、欧州委員会、国連などでアドバイザリーボードのメンバーも務める。2011年から国連とアクセンチュアが共同で行っているサステナビリティに関する合同調査のプロジェクトリーダー、およびサステナビリティに関する合同調査のプロジェクトリーダー。また、世界経済フォーラムの循環経済に関するヤング・グローバル・リーダーズ・タスクフォースの共同会長も務める。

――「サーキュラー・エコノミー(以下、CE)は、製品・部品・資源を最大限に活用し、それらを目減りさせずに永続的に再生・再利用し続けるビジネスモデルでもある」と書かれていましたが、まず、その点についての動向について教えてください。

 この1年から1年半を振り返ると、CEについて検討する、あるいは戦略を立てる企業の数が増えていること、そしてビジネスモデルのクオリティが高まっていることがわかります。

 それを実証しているのが、今年1月に開催された世界経済フォーラム(通称:ダボス会議)で行われた「サーキュラー・エコノミー・アワード」です。このアワードは私が創設し、アクセンチュアがサポートしています。今年で2回目になりますが、今回のエントリーは250件もありました。資源循環や製品のサービス化などを進める民間企業をはじめ、それらの企業を支援する投資家、そして循環型社会を目指す都市も参加しています。

 私は審査委員会の共同委員長を務めましたが、審査委員らの話を聞いていると「第1回のアワードから1年しか経っていないが、CEの持続可能性だけでなく、ビジネスとしても魅力のあるエントリーが増えている」と感じた人が多かったようです。

 受賞した企業をいくつか紹介しておきましょう。

 企業部門の優勝は、LEDで世界トップシェアを持つフィリップスライティングです。都市に対して照明を「製品」ではなく、「照明管理サービス」として売るビジネスモデルが高く評価されました。街全体の照明を管理し、イベント時には色合いや明るさの調整を行うことができます。さらに、交通整理や治安改善の効果も見込めるそうです。

 準優勝は、米建設機械大手のキャタピラーで、重機のリマニュファクチャリング(使用済み製品の再生)が高評価を得ました。資材を削減・再利用・リサイクル・回収する新たなアプローチによって、原材料から同じ機材を作るのと比べて、エネルギーは90%、原材料は80%も効率が高まっています。

 このリマニュファクチャリング事業はすでに世界で10億ドル規模に成長し、およそ4000人が働いています。同社内では最速で成長している部門であり、収益率も一番になっています。

 CEの拡大を物語るように、今年から投資家部門が設けられ、ここではイタリアのバンカ・サンパウロ、オランダのING銀行が受賞しました。どちらもCEを後押しするインフラ投資のプロジェクトに対して資金調達を支援する金融商品が評価されました。

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