女性経営幹部の数と企業の業績は相関する

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ピーターソン国際経済研究所は先頃、性別多様性に関する世界規模の調査の結果として、「企業の経営陣における女性幹部の存在は業績に貢献しうる」と結論づける報告を発表した。本稿では、日本企業が抱えている課題も浮き彫りになる。


 近年、成功した女性リーダーたちが紙面を賑わすようになった。すぐに思い浮かぶのはマリッサ・メイヤー、シェリル・サンドバーグ、インドラ・ヌーイなどだが、彼女たちはいまなお例外的な存在だ。

 米国では、女性はMBA卒業生の約40%、そして企業の管理職の40%を占めている。多くの国々で、高等教育の卒業生、専門職、技術職に占める女性の割合は、男性と同等かそれ以上である。世界規模で見ても、女性の教育レベルと労働力参加率は男性と肩を並べつつあるのだ。

 にもかかわらず、企業の取締役会にもCスイート(「最高○○責任者」の幹部から成る経営陣)にもいまだ女性が少ないのは、なぜだろうか。

 我々ピーターソン国際経済研究所は先頃、世界各地の企業2万2000社ほどを対象に実施した調査の報告書を発表した(英語報告書。91ヵ国2万1980社、2014年時点の結果を2016年2月に公表)。調査の結果、対象企業の約60%に女性取締役がおらず、半数以上の企業には女性の最高経営幹部がいなかった。また、女性のCEOを擁する企業は5%未満だった。

 ただし、国によってこの割合は大きく異なる。ノルウェー、ラトビア、スロベニア、ブルガリアでは、取締役と上級幹部の少なくとも20%が女性である。かたや日本の場合、取締役はわずか2%、最高経営幹部は2.5%の女性率にとどまっていた。

 これほど極端ではないものの、産業によっても割合に差異が見られる。金融、医療、電力・水道・ガス、電気通信などの業界では女性リーダーが比較的歓迎される。一方、資源、テクノロジー、エネルギー、工業などでは女性がトップに立つことは稀である。

 我々の調査では、この数字が収益に影響することも明らかになった。サンプル企業のうち利益率の高い会社(純利益率は平均6.4%)を分析したところ、女性の経営リーダー(CEO、その他の最高経営幹部、取締役)が1人も存在しない企業と30%を占める企業を比べた場合、後者の純利益率が1ポイント高かったのだ。標準的な企業に換算すると、これは15%プラスの利益率を意味する。

 ただし、単に経営トップに女性を起用すればよいとは限らないようだ。我々の調査結果は、1人の女性をCEOまたは取締役に据えるよりも、Cスイートにおける女性の数を増やすほうが効果が大きいことを示している。実際、女性CEOと男性CEOの間に一貫した優劣の差は見られなかった。

 女性の上級幹部の増加が企業の業績向上につながる理由は、少なくとも2つ考えられる。第一に、最高経営陣のスキルの多様性が増し、社員のパフォーマンスがより効果的に監督されること。第二に、トップ以下の管理職を通して性別に関する差別が減るために、人材の採用、昇進、維持をより効果的に行えることだ。性別への偏見のある企業は実力に見合った責任を社員に授けないため、差別をしないライバル企業に人材を奪われることになる。性別の多様性に欠けると収益に悪影響が及ぶのだ。

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