Going Digital 社会、市場のデジタル化を日本企業変革のチャンスにする

テクノロジー・イノベーションによる
ビジネス・イノベーションの加速に向けて

デジタル時代のイノベーション・リーダーとなるためのCIOの使命

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デジタル化が進む市場においてはビジネスの俊敏性が企業成長の生命線となる。ビジネス・イノベーションを加速し、成長の原動力とするには、企業が戦略にテクノロジーを融合させることで、新たな破壊的ビジネスモデルと次なる成長シナリオを創出することが不可欠となる。そこで問われるのがCIOの役割である。CIOが企業におけるイノベーション・リーダーの称号を勝ち取るためには、3つの大きな使命を成し遂げる必要がある。

ビジネス・イノベーションを加速させる

最新のアクセンチュア・ストラテジーの調査によると、率先して企業のデジタル化を牽引し、新たな戦い方(ビジネス・イノベーション)を確立しようとする意欲の高い経営陣はわずか39%に留まり、残り61%は「ファスト・フォロワー」であることに満足している、あるいはデジタル化の利点が他者によって立証されるまで静観視するつもりである1ことが明らかになりました。

しかしながら、このような静観姿勢は大きなリスクを伴います。デジタル化が進む市場においてはビジネスの俊敏性が企業成長の生命線となります。デジタル社会の浸透により、顧客はチャネルの選択に関わりなく、即座に欲しい商品やサービスにアクセスできることが当然のことだと認識し始めています。

こうした顧客の期待値や行動様式の変化をとらまえ、最新のテクノロジー・イノベーションを活用して新たなビジネスモデルを展開する異業種ならびに新興プレーヤーが出現し始めています。このような新規参入者(ディスラプター)は、従来の業界の前提を覆す新しい発想やアプローチを適用することで、業界の既存プレーヤーから市場シェアを奪うだけでなく、業界全体のバリューチェーン構造の破壊までも目論んでいるのです。

ビジネスの俊敏性がデジタル時代における企業成長の生命線となるなら、ビジネス・イノベーションは成長達成の原動力となります。デジタル時代におけるビジネス・イノベーションにおいては、企業が戦略にテクノロジーを融合させることで、新たな破壊的ビジネスモデルと次なる成長シナリオを創出できるかで、その真価が問われます。

2015年のアクセンチュアの調査によると、企業の経営幹部の62%は既存事業・業務におけるテクノロジー活用の拡大に注力しているのに対し、35%は既存事業・業務に留まらず、テクノロジー・イノベーションの活用を新たな成長オプション創出の中核に位置づけています2。一方で、CIOをテクノロジー・イノベーションの活用による自社のビジネス・イノベーション推進のリーダーとして挙げている経営幹部は、わずか22%です。すなわちCIOは、デジタル時代の企業成長を支えるテクノロジー・リーダーとしての役割を失う危機に直面しているのです。

CIOが旧来のITリーダーの役割に閉じこもっていては、この危機を打破することはできません。CIOには、テクノロジー・イノベーションがいかに企業に新たな価値を創出するのかを見極めるイノベーション・リーダーへと、その役割を進化させることが求められているのです。これは不可能なことではありません。

CIOおよびその配下にあるIT組織は、テクノロジー企業と密接に結びついており、デジタル化の浸透とともに絶え間なく変化し続ける業界動向と競争環境をだれよりも早く探知し理解するために欠かせないネットワークとスキルを備えています。CIOはまた、研究開発からマーケティングやオペレーション、販売、流通に至るバリューチェーン全般を見渡す広い視野と知識も持ち合わせています。それゆえCIOは、企業におけるイノベーション・リーダーとなるために、すでに理想的な立ち位置にもいるのです。

出典

1 Accenture Strategy Executive research 2015

2 Accenture Technology Vision Survey, January 2015

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