黒部の雄大な自然の中で
YKKの社員が描いた絵とは

DHBR連載「リーダーは『描く』」の取材現場レポート

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DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの連載「リーダーは『描く』」。今月は富山を本拠地に世界に展開するファスナー企業、YKKの吉田忠裕会長です。吉田さんと一緒に絵を描いたのは、YKKグループの次代を担う技術者のみなさん。ワークショップに参加することが決まってから、かなりの緊張に苛まれたそうです。そんな吉田会長と社員のみなさんは、いったいどのような絵を描いたのでしょうか。YKKグループの「描く」現場を追いました(構成・新田匡央、写真・鈴木愛子)。※吉田会長の吉は土に口です。

ワークショップは、記録的大寒波の翌日に行われた

 今年1月24日から25日にかけて、西日本を中心に記録的大寒波が猛威を振るいました。この大寒波は、115年ぶりに奄美大島に雪を降らせ、西日本各地も猛烈な雪に見舞われたといいます。YKKグループが本社機能の一部を移した富山県黒部市も、かなりの雪が降ったそうです。ワークショップは1月26日。当日が心配でした。

 2015年に開業した北陸新幹線は、今年初めての冬を迎えます。どの程度雪に強いのかわからないので、当初の乗車予定時刻を繰り上げて黒部に向かいました。しかし、心配は杞憂に。新幹線は何事もなく定刻通りに到着し、私たちは黒部宇奈月温泉駅に降り立ったのです。2階のホームから改札口に降りるエスカレーターに乗ると、目の前の壁にYKKの大きな看板が広がっていました。黒部という町がYKKの企業城下町であることを、強く印象づけられたような気がします。

 駅から本社までは、タクシーで向かいました。運転手さんによると、新幹線の開業とともに整備された道は渋滞もなく走りやすくなり、大幅に時間が短縮されたそうです。しかし、さすがにこの日は除雪が間に合わず、残雪が残る道をガタガタと進んでいきました。

 すると突然、目の前に広大な敷地が現れました。そこには工場群が立ち並んでいて、すべてがYKKグループの工場だといいます。その整然さに目を奪われていると、タクシーはモダンな建物に近づいていきます。聞くと、YKK創業50周年の1984年に建設された建物で、本社機能の一部移転に伴って、2015年に内部をリノベーションしたといいます。

 中に入ると、ワークショップの会場となる部屋に通されました。窓をつくる企業だけあって、その部屋は工夫を凝らした壁に囲まれています。赤茶色の木材と透明なアクリル板を交互に組み上げ、自然な風合いとモダンな雰囲気を調和させていたのです。

 部屋の奥は一面ガラス張り。遠くまで広がる雪景色がよく見えます。青空から降り注ぐ光線の反射で、通常の晴れた日よりも明るい感じがします。そして、その雪原の向こうにそびえるのは、雄大な立山連峰です。低い山々は常緑樹に雪化粧をほどこして幻想的な雰囲気をまとい、最高峰に聳える剣岳は全身に真っ白な雪をたたえ、神秘的なムードを感じさせます。こうした雄大な自然のなかで、今回のワークショップが行われます。

 今回YKKにお願いしたワークショップは、もともと「絵はもっと自由に描いていい」という思いを伝えようと、子ども向けに考案されたプログラムです。今では、それが企業向けプログラムにアレンジした「Vision Forest」という組織変革アプローチとして発展しています。プログラムを共同で提供するのは、アート教育の企画・運営やアーティストのマネジメントを行う株式会社ホワイトシップと、ビジネスコンサルティングサービスの株式会社シグマクシスです。本誌の連載「リーダーは『描く』」では、両社の全面協力のもと実際にワークショップを実施し、その様子を記事化しています。

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