デザイン思考がブランディングに役立つ理由

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消費者のニーズが顕在化しにくい時代、デザイン思考による新しい知の創造が効果を発揮する。そして、まさにいま求められるブランディングはデザイン思考と実に相性がいい。

 

ブランディングとデザイン思考を結ぶ「リボン」

 筆者は、博報堂内のブランディング専門チーム「博報堂ブランドデザイン」に所属し、さまざまなクライアントのブランドづくりのお手伝いをしています。ブランディングには、絶対の「正解」や、これさえやればOKという「勝ちパターン」がありません。正解のない問いに挑むとき、「デザイン思考」は大きな力になります。ブランディングとデザイン思考。その交点について、私自身の経験から得た気づきとともにお伝えします。

 私たちはブランドを、「社会にとって意義のある、魅力的な固有性(らしさ)」と定義しています。ブランディングとは、社会にとって有意義で魅力的な「らしさ」を設計し、実体化していく作業のことです。

 ブランディングにはいろいろな方法がありますが、基本的には、3つのシンプルなステップに整理できます。

 ①インプット
 ②コンセプト
 ③アウトプット

 インプットのフェーズでは、ブランド、社会、生活者に関する多様な情報を収集し、分析します。コンセプトのフェーズでは、インプットで得た情報をもとに、ブランドのビジョン、提供価値や世界観を規定します。アウトプットのフェーズでは、コンセプトに基づき、具体的な施策や活動を開発し、展開します。

 一方、デザイン思考は、プロダクトデザインやグラフィックデザイン等、狭義のデザインにとどまらず、経営やマーケティング、事業開発やサービス開発等、幅広い領域において、「デザイナーのように」思考することで、新たな解を得ようとする取り組みです。

 従来のように商品やサービスに対する消費者の要求が明確で、それに応えるものを提供していればよかった時代ではなくなり、顕在的なニーズがないような状態から新しいものを創造しなければならない現在、ビジネスの世界でもデザイン思考がおおいに注目されています。

 デザイン思考では、先入観にとらわれず本質を問い続けること、人間を中心に発想すること、そして、頭でわかった気にならずカタチにしながら考えること、といった姿勢がきわめて大切です。

 アメリカのデザインファームIDEO、スタンフォード大学d.school、イリノイ工科大学等、さまざまな先駆的なプレイヤーがいて、それぞれ独自の方法論を持っていますが、私は、デザイン思考は次の3つのプロセスに集約することができると考えています。

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思考のリボンフレーム

 ①オブザベーション(観察)
 ②シンセシス(統合)
 ③リアライゼーション(具現化)

 このプロセスは、ブランディングの3つのステップと見事に符合します。どちらも、多様な要素をいったん収束させ、そこからさまざまに拡散し展開していく作業であり、図示するとリボンのような形をしています。私たちはこれを、思考の「リボンフレーム」と呼んで活用しています。

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