チームの創造性とイノベーションに寄与する9つの視座

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創造性とイノベーションに関する研究成果を収集・分析した中から、特に重要な9つの知見を紹介。チームの創造性を高めるためのチェックリストとして活用できそうだ。


 チーム力に関する研究は、分野によってはかなり解明が進み、リーダーに処方箋を提供している。だが、チームの創造性とイノベーションについてはそうではない。創造性とイノベーションに影響を与えるいくつかの要因は知られているが、双方のより複雑な関係性については、わかり始めたばかりだ。

 創造性の研究者は通常、創造性とイノベーションを区別する。イノベーションには「新しいアイデアの創出」と「そのアイデアの実施」という2つの段階が伴う。そして創造性は、イノベーションの第1段階とされている。双方に関する知見はたくさんあるが、リーダーにとって指針となる研究成果はまだ多くはない。

 イノベーションに寄与することが現時点でわかっている、いくつかの重要事項を以下に紹介しよう。これらは、イノベーションと創造性に関する過去30年間の研究成果をメタ分析した結果に基づいている(英語論文)。

●説得力のあるビジョン

 チームの目的について、メンバーが理解を共有しコミットしている時、イノベーション力は高まる。明確かつ有益な目的は、メンバーに意義とモチベーションを与える。

●目標の相互依存性

 これはチーム内で各人の目標が、他メンバーの成功によってのみ達成されるという、相互依存性の度合いである。オリンピックで言えば、体操チームは団体戦でメダルを獲得できなくても、メンバーは個人戦でメダルを狙えるので、目標の相互依存性は低い。ホッケーチームの場合は、チーム全体でしかメダル獲得を達成できないので目標の相互依存性は高い。メンバーはこの相互依存性によって、自分の行動が相互利益につながるように行動する。リーダーが目標の相互依存性を生み出すには、集団でなければ達成できない目的を設定すること、そして問題への対処とフィードバックをチーム全体で行うことが求められる。

●イノベーションへの支援

 チームのイノベーション力は、マネジャーの次の支援によって高まる。イノベーションに期待して承認を与えること。イノベーションの取り組みで成果を出せないメンバーを後押しすること。そして、新しいアイデアの創出と実行を認識し、見返りを与えること。つまりリスクを奨励して、失敗を予期しておくということだ。

●タスク志向性

 これはチームメンバーが、説得力のあるビジョンの下に卓越した成果を上げようという意思を共有することだ。タスク志向のチームは、仕事の評価基準を高く設け、パフォーマンスをモニターしフィードバックを提供し合う。

●結束力

 これはチームへのコミットメント、そしてチームの一員でありたいという欲求を表す。研究者らの観点では、メンバー同士が安心して対立でき、現状への疑問を呈することが許されるような、心理的に安全な環境をつくることが結束力につながる。

●チームの内と外における濃密なコミュニケーション

 チーム内でのメンバー同士の濃密なコミュニケーションは、知識とアイデアの共有につながり、安心してフィードバックし合える環境をもたらす。メンバーがチームの外部とコミュニケーションを図ることで、他者からの学びと新しい情報がもたらされ、イノベーションが促進される。

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