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リーダーをどう育てるのか

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グローバル・リーダーはどうすれば育成できるのか。新興国企業のリーダーシップとはどのようなものか。INSEADで企業幹部向けリーダー育成プログラムを統括したナラヤン・パント教授に、リーダー育成の最前線について聞いた。

リーダーは「鏡」を見て育つ

後藤(以下色文字) 経営リーダー育成プログラムに多くの企業が注目しています。教授はこうしたプログラムの開発と運営に、長く取り組まれています。参加者は各組織のリーダー的存在でしょうが、プログラムを受講することで、どのようにリーダーとして成長していくのでしょうか

ナラヤン・パント
Narayan Pant
INSEAD教授
(主席教授/リーダーシップ・戦略)

モニターグループ、自身のファームでの多様な業界に対する戦略コンサルティングを経て現職。The Academy of Management、The Strategic Management Societyなどでの発表多数。リーダーの判断力向上をテーマにリーダー育成プログラムの開発と実践を行う。ニューヨーク大学スターンスクール、アルバータ大学(カナダ)、シンガポール国立大学などでも企業戦略を講義してきた。

パント教授(以下略) 世界には色々なプログラムがあって一概には言えませんが、私のプログラムを例に考えてみましょう。

 典型的な参加者は部長や執行役員クラスで、すでにある程度シニアな層です。この位のレベルになると、ビジネスで「何をするべきか」について知識がない人はほとんどいません。みんなMBAを取ったり、多くの研修に参加したり、読書を積み重ねて、知識は十分にあります。むしろ、「知識はあっても実践しない」人が、とても多いのです。

 単に知識を提供するのでなく、分かっていてもやらない人にリーダーになってもらうには、どうすればよいか。

 あらゆる変革と同じで、リーダー教育も変化への心理的な壁にぶち当たります。ですから、私たちのプログラムではリーダー候補生に「鏡」を突き付けます。自分の態度や行動を客観的な証拠としてあぶり出し、自分に対する問いかけを引き起こすのです。鏡の中の自分を見て、これでよいと思うのか、と。

 つまり、私たちのゴールは参加者の心に自ら変わるきっかけを作ることなのです。いま自分がどう行動しているか、そしてそれが理想として信じる自分とどれほど違うか。そのゆるぎない証拠こそが、自らが変わる最強の動機付けになります。それが、これまで数多くのリーダーを見てきた観察の結果です。

――素晴らしいアプローチだと思いますが、それなりの年齢とポジションの人となると、鏡を突き付けられても変わらない人もいるのではないでしょうか。そういう人に対してはどうするのですか。

 それはとてもよい質問ですね(笑)。

後藤将史
デロイト トーマツ コンサルティング グローバルマネジメントインスティテュート 執行役員 パートナー
グローバル経営のトレンド、特に新興国企業の動向に関する研究に従事する。著書に『グローバルで勝てる組織をつくる7つの鍵』(東洋経済新報社)。INSEAD経営学修士、オックスフォード大学経営研究修士。早稲田大学非常勤講師。

 実際のところ、私たちは人に強制して何かをさせることはできません。育成プログラムにできるのは、状況を可視化し、現状の問題点とそれを改善した際の潜在的メリットを示すことだけです。それでも本当に何一つ変える気がないのであれば、私たちにできることはほとんどありません。もしそのような人がいたら、唯一の慰めは、その人は少なくとも自分の意思で選択して行動していく、ということでしょう。

――鏡を見て内省し、現状と理想のギャップを突き詰めて考えると、転職やキャリアチェンジをしたくなる人も出てきそうです。そのような参加者もいるのでしょうか。

 その通りです。そもそもINSEADのプログラムAdvanced Management Programは、何かしら現状を変えたいから来るという参加者が多いのです。多くの場合、仕事でもっと活躍したいという情熱が根源にあるのですが、海外企業で働く人材の場合、「いまの仕事ではハッピーにはならない」という結論に至る場合もあります。

 私たちは、これは企業にも参加者にも必ずしも悪い結果ではないと思っています。参加者にとっては、より適したキャリアが見つかります。企業にとっても、その参加者がもし根本的な違和感を抱えていれば成果が出ない可能性があり、またもっと意欲がありフィット感の高いリーダー候補をそのポジションに引き上げることもできるからです。

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