「知らない」ということに恐怖を感じているか?

問題解決の方法論〈3〉

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前回、「常に違和感をもって観て、思考する」ことの重要性を説明したが、人間の習慣はそう簡単に変わるものではない。そもそも、人は「自省」することはしても行動を変えるまで長続きしないだろうし、まして「自分が何を知らないか」を自覚している人はほとんどいないだろう。陳腐な言い方だが、言うは易く行うは難し、が現実なのである。。

コントラリアンになりなさい

――宇宙も自然界も人体も、多くのミニシステムが統合されたトータルなシステムであって、部分部分をバラバラに理解しても全体としての振る舞いを理解することはできないという考え方は、社会システム・デザインにどのように反映されるのでしょうか。

 東大EMPもこの10月で開講して8年目を迎えます。最近では、プレEMP、EMP、ポストEMPと三層構造のプログラムになっています。

横山禎徳
東京大学EMP 特任教授

 プレEMPは、いまのところ、特定の企業だけに限定して行っています。前回の宮崎教授はじめ数人の講師陣から最先端の知識をダーッと話してもらい、受講生にはいきなり知のシャワーを浴びてもらいます。そしてもっと知りたいという渇望感をもって、本番のEMPに対する関心を持ってもらうという構成にしています。

 私がトップバッターで出ていくのですが、最近繰り返し言っていることは、「コントラリアンになりなさい」ということです。コントラリアンというのは、逆張りの人、「私は違うと思います」と言う人、というような意味です。

 日本の企業風土では、社内で「私は違うと思います」と言い続けたら排除されてしまう、そう思われるかもしれません。銀行だろうと、メーカーだろうと、官庁だろうと、大組織では特にそうでしょう。しかし、諦めてはいけません。心の片隅では常に「違うんだよなあ」と、思考停止にならないようコントラリアン的発想をしながら、賢く立ち回れるようになることです。これは一種の思考訓練なのです。

――それは、前回もお話に出た、常に「違和感」をもって観る、思考するということにもつながりますか。

 そうですね。コントラリアン的発想や違和感をもって生活するには、自分が何を知らないかを知らない、といった状況では所詮無理です。EMPの基本もそこからです。

「I don't know what I don't know.」を感じてもらうために、私は最初に次のような3つの質問をします。

質問1 ケロッグ・ブリアン条約の内容を知っていますか?
質問2 IAEA(国際原子力機関)の深層防護について説明できますか?
質問3 国民医療費は何年から減少に向かうでしょうか?

 どうでしょう。すべて答えられますか。

――難しいです。

 日本を代表する企業の中堅のみなさんでも、この3つをきちんと説明できる人はほとんどいません。

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